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部屋の中を探検していたらもういい時間になっていたので下の階のレストランに行って夕飯を食べてきた。ナイフとフォークと名前もわからない料理が出てくるかと思ってたけれど、意外とそんな事もなくて全然緊張することも無く食事を終えることが出来た。どの料理もキラキラしててパンピの俺には勿体ないんじゃないかってくらい美味かった。
「お腹いっぱい…本当にありがとうございます」
「良かったな」
いつもより少し膨らんだ腹を撫でながらこれまたデカいソファに腰掛けると黒川さんも隣に座る。
不意にサラっと髪をひと房摘まれ、流れで右耳のピアスを触られる。甘い空気が恥ずかしくて、擽ったくて肩を竦めると風呂を勧められた。
「風呂入ってくれば」
「…俺が先でいいんですか?」
「うん、疲れただろ?ゆっくりしてこい」
「お先に失礼します」
風呂場は夕食の前に見たけど顎が外れるかと思った。
浴槽とピカピカのガラス張りのシャワールームの二つあって、見た時に先にシャワールームの方に行こうと決めていた。
脱衣所で服を脱ぎシャワールームに入る。
ボディーソープをモコモコ泡立て全身洗ったあとは浴槽に移動する。
「えっ?!!!何だこれ!!!」
白く丸いバスタブの中に張ってある少し濁ったお湯には赤い薔薇の花弁がいくつも浮いている。
造花…?と思い一枚つまみあげると触った感じで本物だと分かり思わずため息が出る。
「…大人って…すごい…」
ホテルのオプションなのか黒川さんが用意してくれた物かは分からないけどどちらにせよサラっとサプライズしてくれるとか本当にできた人だな…。
そっと浴槽に入る。お湯は丁度良い温度で脚を伸ばしても狭くないくらい広い。
「…へへ」
ちゃぷんちゃぷんとお湯を跳ねさせて薔薇風呂をしっかり堪能した後、待たせている黒川さんの事を思い出して急いで風呂から出た。
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