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爽は照り焼き、俺はチーズのバーガーをそれぞれ頬張る。夏休みは課題が終わったら遊びに行こうとか、白林さんに二人で報告と挨拶に行こう、とかそんなたわいも無い話をしていると入店の鈴がなる。
昼間だけど平日なので店内のお客さんは少ない。無意識に入口のドアの方を見ると、お馴染みの全身ブラックさんが俺たちの方に向かって歩いてきていた。
車で待ってるからって言ってたのに、何で入ってきてるんだ。何が気に障っているのか仏頂面の黒川さんを俺は凝視してしまう。その様子を不審に思ったのか爽も俺の視線を辿り振り向く。
「うわ…イケメン…美人…?」
「遅い。スマホ見ろ。」
「す、すみませ、見てなかっ、」
「え?華知り合い?」
ズイッと俺を窓側に押しやり隣に座る黒川さん。俺は爽に迎えが来るって伝えてなかったのと急な登場に驚き、爽に黒川さんを紹介できない。爽はそんな俺と黒川さんを交互に見て不思議そうにしている。
「こんにちは。華の知り合いの黒川です。君は清水 爽くんで合ってる?」
「え、あ、はい。こんにちは…」
「今俺ん家に白林来てるんだけど君も来る?」
「あ、え…良ければ…」
俺は思考回路が停止した。
誰だ……????黒川さん…だよな????少なくともこの席に座る前までは黒川さんだった。
思わず隣に座る黒川さんをガン見する。いつもの意地悪そうで蕩けるような甘い笑顔じゃなくて、隣にいる黒川さんは人当たりの良い爽やかな笑顔で爽に話し掛けている。
しかも口調が…口調…が…かなり違って…違和感しかない。
「これ、名刺」
「ありがとうごさいま、え、代表取締役????!!」
なんか真っ黒でかっこいい名刺まで渡してるし、てか俺名刺とか貰った事ないし…。
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