78 / 225

花火大会

「んーこんなもんかな」 目標にしていたページ数まで数式を書き終えワークをパタンと閉じる。 初エッチを済ませて心身共に大人の階段を登った俺は黒川さんの家から自分の家に戻って数日間、夏休みの課題をしていた。本当に課題しかしていないから夏休みは始まったばかりなのにもう課題は終わりそう。 友達と出かけるにしても友達とハッキリ言える友達は爽と琉唯くんしかいないし、てかまず暑いから外に出たくないし…と言った次第。 唯一外に出るのは週一で爽と事務所に見学行く時だけだ。 しかも白林さんが送り迎えしてくれるから家の近くのコンビニまでの往復だけ。これじゃ体力が落ちるのも当たり前だ。 「ん〜…暇だ…」 ベッドに寝転び目を閉じる。現在時刻は正午を少し過ぎた頃。全然腹は空いてない。家にある漫画は読み飽きたし課題の続きをしたら夏休み後半が絶対もっと暇になる。テレビはリビングにしかないし今は妹の由奈が録り溜めしていたドラマを観ているだろう。 黒川さんとは一応毎日Limeのやり取りをしているけど社長だから気軽に連絡するのは気が引ける。これは最近知ったんだけど黒川さんはスマホアプリ会社の社長だけどそれ以外にも色々してるって事。もちろんヤクザじゃない。 だからいっぱいお金持ってるんだなぁと少し納得した。 久しぶりにDSでもやるかな〜と長年封印していたゲーム機を持ったその時、スマホのメッセージ受信音が鳴る。 「黒川さんだ!」 送信者は黒川さん。いま昼休憩かな〜なんて思いながらメッセージを開く。 『明後日の花火大会行くぞ』 明後日は隣町で結構大きめの花火大会がある。市の有名な花火大会より小規模だけど毎年由奈と二人で行っていた。てか行くぞって拒否権ないじゃん。もちろん拒否しませんけど。 俺は急いで『はい!』と返事して一階へ下りる。そして予想通りドラマを観ていた由奈に少し緊張しながら話しかける。 「由奈、ごめん兄ちゃん明後日の花火大会一緒に行けない」 振り返った由奈は元々丸い目をもっと丸くして驚いている。爽に毎年誘われるけど絶対由奈を優先してたから。 「え〜!?あ!社会人の人と行くの?」 ズバリ言い当てられるけどなんか妹に言うのはやっぱり恥ずかしくて小さく頷く。 それを見た由奈は機嫌を悪くする事なくニコ〜!っと笑い足をパタパタと動かす。 「由奈も会いたい!」 「駄目!絶対駄目!」 今度は目をキラキラ輝かせる由奈にぶんぶん首を振る。 ブラコンじゃないけど由奈は可愛いし俺に似てるから黒川さんが…もし…うわぁぁ考えたくない…!! そんな俺の考えは由奈にお見通しでニヤニヤされる。 「ケチ〜!由奈が可愛いから取られちゃうとか思ったんでしょ!」 「違うし!とにかく俺は一緒に行けないから!ごめん!」 まだニヤニヤ顔の由奈から逃げるように俺は自分の部屋に戻った。

ともだちにシェアしよう!