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しばらく画像を眺める。でも写っている二人が別の人に変わる事なんてあるはずない。このまま見てたって気が滅入るだけだと電源を切ろうとしたその時、スマホが震える。 着信音は、… ──(黒川さん) 黒川さんだ…今日…やっぱり来れなくなったとか言われたらどうしよう。俺立ち直れないかも。ちょっと緊張しながら応答ボタンを押すと音割れするくらいの声量が聞こえてくる。 『華?!今どこだ!』 「え、コンビニの前で待ってま」 『ごめんすぐ行く!』 「あっ、」 ブチッと切れる通話。返事もまともにする隙が無かった…。それから10分もせずに凄い勢いで駐車場に入ってくる黒のsuv。 あの車!黒川さんだ!! 浴衣だから上手く走れないけど早く黒川さんの顔が見たくて着崩れない程度に最大限の速さで車に近寄る。 黒川さんは駐車枠に車を停めるとすぐに運転席から飛び降りてきて俺をぎゅーっと抱き締めた。 「華!」 「うぶ、」 長い腕に包まれていつもの香水の香りとフェロモンの香り、あと知らない匂い。甘くて可愛い女っぽい匂いがする。 考えなくてもわかる。絶対写真のお姉様だ。こんなに匂いが移るくらいくっついたのかよ!!! ダメダメ!!俺の黒川さんだし…! モヤモヤが止まらない。ここがコンビニの駐車場だという事も忘れて俺は黒川さんの背中に手を回す。 「…華?」 「…あ、!お仕事お疲れ様です!」 怪訝な声で名前を呼ばれて慌てて離れる。 手を引かれてそのまま助手席に乗り込む。 「もう花火終わってるよな…ごめんな。家でいいか?」 「はい!どこでもいいです!」 花火大会はとてもとても楽しみにしてたけど仕事だから仕方ない。残念だけど今からの時間ずっと黒川さんを独り占めできるならいい。 着いたらぎゅーしてくださいとか言ってみようかな。

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