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「お前なぁ…」 脱いだTシャツを黒川さんにずいっと突き出す。 俺はちゃんと脱いだのに黒川さんは器用に片眉を跳ねさせた。 そう、俺は些細な抵抗でTシャツの下に着ていた肌着は残しているからだ。脱いだのは1枚だけ。 「…まぁいいか…行くぞ」 脱衣所につくと黒川さんは躊躇なくスーツを脱いでさっさと風呂場に入っていく。 俺も慌てて後を追った。 「目閉じてろよ」 うんうんと頷くとそっと頭に手が触れる。 黒川さんがわしゃわしゃ手を動かす度にシャンプーの泡が垂れてきて、慌てて目を閉じる。 ちょうど良い温度のシャワーで流してもらって頭は終わり。 「よし、次は体、どこ触られたか言えるか」 「…腕とかお腹とか…」 後ろにいる黒川さんに聞こえるか聞こえないかくらいの声量で呟くと、ぬるっとした何かが両脇腹を撫で上げる。 「ひっ」 何か、なんて言わなくても分かる。何かの正体は黒川さんの手で擽りが苦手な俺は体を左右に揺らしてなんとか逃げようとするけど逃げられない。 「くすぐっ、たい、って本当に!!!ふふ、っぅ」 「ここは?」 後ろから囁いてくる。耳から首にかけて黒川さんのまだ濡れてない髪があたってそれもくすぐったい。 そう言いながら手のひらで撫でられる腹筋はまだバキバキに割れてないから恥ずかしい。いつか黒川さんくらい綺麗に割ってみせる…!! なんて決意していると感じたことのない感覚が不意に黒川さんの手によって襲ってきて目を見開く。 「んっ、…?」 下を向くと後ろから回された両手が俺の胸を揉んでいる。 そう、薄っぺらい、胸だ。脂肪も何もない。ちょっと痛い。 「いや、っちょっと、あの?」 「開発してみる?」 開発するとかしないとか関係なく黒川さんからならどこを触られてもゾワゾワする。言ったら全身開発済みみたいなもんだ。 けどそれを言うのは恥ずかしいから小さく首を振って形だけは拒否した。

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