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「…ッ…ん…?…あれ…?」 でも中々上手くいかない。 一応入口に宛がったはずなのにつるつる滑るっていうか、上手く入らない。 「ちゃんと固定して」 「…ぁ…ちょっと…はいった?かも…」 わかってるって!と怒鳴りたくなる気持ちを抑えて言われた通りにさっきよりちゃんと固定して腰を下ろしてみると先端が少しはいった気がした。 そのままゆっくりゆっくり亀より遅いスピードで腰を下ろすこと数分。 「…あとちょっと?」 「お前、まだそれ全然入ってない!」 と言いながら口を開けてアハハと笑いだした黒川さんにとうとう動きが止まる。 …珍しい大笑い。ちょっと失礼じゃない? 「…笑いすぎです」 「…あぁ…ごめん…なんか…幸せだなって」 ひとしきり笑った黒川さんは手を伸ばし俺の頬をなでる。 その黒い瞳はいつもより少し潤んでいて、目元も紅い。 ──もしかして、いや、まさか。 「泣い、」 「てない。入れないなら俺が入れるぞ」 え、と思った時にはもう遅くて。 「ヤっ、ああぁあ!!」 ガツンと突き上げられた衝撃に再度黒川さんの胸に突っ伏す。 「ほら、動けよ」 「ぁっ、…っやめて、うごくからあ!」 体制を立て直す隙も与えてくれず、下からくる律動に翻弄されるばかり。 下から突かれるのなんか初めてだし、俺と黒川さんはそこまで体格差がないから上に乗ってて重くないか心配になる。 「はーな、起きろって」 「ぅ、うっ…ぁあ、」 だから起き上がって欲しいなら止めて欲しい。 なんで俺が上にいるのにそんなに動けるのかわからない。 さっき『俺の好きな所』を触られた時と同じような快感に襲われ、もう『やめて』も言えずに俺の口からは喘ぎしか出ない。

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