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苦笑いする俺に母親はため息をつきながら語りだす。 「お兄ちゃんだからって何でも我慢しちゃう癖があってね、何かおねだりした後にやっぱりいいって絶対言うのよ〜…」 そのかわり妹の由奈ちゃんは我儘言いたい放題だそうだ。 だがそれは我儘を言えない華の分も含めた我儘らしい。 「僕はもっと頼って欲しいと思っているのですが中々難しいみたいで」 「そうよねぇ、ほら、私たち華と歳が離れてるから、特にこの人なんか華とどう接していいか分からなくていつも仏頂面なの〜」 そういう事か。親子揃って不器用らしい。 『うるさい…』と言いながら顔を背けるその仕草は、華が照れた時にするそれによく似ていて今すぐ華に会いたくなる。 「私の事は置いて。君、華と家族になるつもりはあるのかね」 咳払いした父親。 いきなりの話題に焦るが必死に心を落ち着かせる。 「はい。早めに籍を入れたいと思っています。あと華くんが卒業したら僕と一緒に暮らしたいと思っているのですが」 これはずっと前から考えていた事だ。 ここ数年でこの世界は数十年前とは違い、同性でも結婚出来るように変わった。 元々男のアルファと男のオメガが結ばれるという事を完全に無視した世の中だったから変わるのが少し遅いと思うが。 籍を入れると正式に華を俺のものにする事ができる。 本音は今すぐ籍を入れたいくらいだ。 「…あらぁ」 「…」 母親は口元に手を当て父親は再び難しい顔に戻った。 「許可していただけませんか」 長過ぎるくらい頭を下げる。 同じ人に何回も頭を下げたのはこれが初めてだ。 何とも不思議な気分だが華と一緒にいる為なら何回だってやってやる。

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