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「……はぁ…っは…」
誰かの荒い息が遠くで聞こえる。
「はっ!?」
ガバっと起き上がった時の身体の違和感の正体は直ぐに分かった。
何度も経験している倦怠感。
高い体温に勃ち上がる性器。
奥に番のモノが欲しいと熱く濡れて疼く後孔。
間違いなくヒートの症状だった。
「あッ…、ん」
もぞっと身じろぎするだけでシーツと擦れた肌が快感を拾う。
やばい、やばいやばい…これはまずい早く戻らないと!
と思う反面、でもなぁ、ベッドすっごい良い匂いするんだよなぁ…!!どうせ帰ってこないなら居てもいいよな!
と思う自分もいる。
「…まぁ…いいかぁ…はぁ〜…」
起こした体をまた倒して寝転ぶ。秒で勝ったのは自分の欲だった。
「………」
シャツを抱き締めながらゴロゴロ寝返りをうってみると黒川さんの匂いがふわふわ強くなる。
もっと服とか集めたいなぁ。もっと集めてそれに埋もれたら気持ちいいだろうなぁ。
そう思った俺はだるい身体を動かして、クローゼットまで移動する。
一枚だけのつもりだったけど全部洗濯すればいいよね。
「…ふふふ…」
クローゼットからとってきたのはたくさんのシャツとネクタイ、靴下や下着。
腕の中にこんもり抱えてベッドにダイブする。
「こんなもん…かなぁ…」
それを綺麗に綺麗に自分を囲む円形のように並べていく。
黒川さんのベッドは俺が大の字で寝ても大丈夫なくらい大きいから、いくら服を広げても平気だった。
…でも服からは肝心の匂いがしない。
そこでさっきと同じようにそれぞれ一回ずつ香水を吹き掛けてみた。
「……」
うん、いい感じ。ちょっと香水くさいけど黒川さんの匂い。
満足すると共に、ムラムラが襲ってきた。
誰もいないのにキョロキョロしてから、そろっとズボンの中に手を突っ込む。
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