200 / 225

おうち side 金条 華

俺の腕を掴み、僅かに息を乱している黒川さん。 4年ぶりなのに見た目は全然変わってなくて、俺の心臓は今までで一番って言っていいくらい速く動き出した。 なんで走ってきたのにこんなにかっこいいんだ?もう25くらいだろ? 半分三十路なのにどんどんビジュアルが良くなってて無理だ。 「待たせた、ごめん」 「……」 驚きとドキドキで何も言えず首をぶんぶん横に振る。 それを見た黒川さんは困ったように笑った。 そして掴まれた腕をそのまま引かれ、しっかり抱き締められる。久しぶりに香るフェロモンの香りに軽く目眩がした。 「…ほんもの?」 「本物だ。俺は一人しかいないぞ」 あまり身長に差がなくなったから声が耳に近い距離で聞こえて嬉しい。 胸いっぱいに匂いを吸い込みながら背に手を回し、俺からもしっかり抱き締め返す。 スーツがよれるかも、と一瞬思ったけど今だけ許して欲しい。 もう絶対はなれたくないから。 「おかえりなさいぃ」 「ただいま」 お互いぎゅうぎゅう苦しいくらい抱き締め合っていると一部始終を見ていた白林さんが割って入る。 「おい!本当に廉か?全部思い出したのか?」 「あぁ。華、帰るぞ。優斗、しばらく華は休みだ」 白林さんは嬉しいのか涙目になっている。 そんな白林さんに黒川さんは穏やかに笑った。 ……ていうか… 「休み?」 「久しぶりの再会だろ。ゆっくりしよう」 さも当たり前みたいな言い方をする黒川さん。白林さんも是非是非!って感じで頷いている。 「華!よかったな!!」 「…うん、ありがとう」 マスクをしていて分からないけど、きっと爽はニカっと笑っているに違いない。 そうして俺たちは笑顔の二人に見送られ家に帰った。

ともだちにシェアしよう!