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第26話
「……ン……」
静かな部屋の中に響いてるのはぴちゃぴちゃと唾液を交わらせて舌を絡め合わせる水音と、合間に漏れてしまう俺の声。
なんで本当に――こんなにキスがうまいんだよ!
松原もそうだけど、優斗さんもキスがうまくって、頭がぼーっとしてくる。
「……っは……」
唇が離れて息を吸い込むけど、すぐにまた塞がれる。
飽きもせずにどのくらいだろう?
結構長い間ディープキスだけしてた。
でも舌だけでも敏感で、吸われたり硬く尖らせた舌先でなぞるように舌を弄られてると、気持ちよくて息子がガチガチに勃ちあがってしまってた。
「……ん!?」
びくり、と身体が跳ねる。
Tシャツの裾から優斗さんの手が入り込んできて腹を円を描くようにして撫でまわしてくる。
むず痒いような気持ちいいような微妙な刺激に小さく身体が震えてしまう。
キスはずっと続いてて手を縛られてる俺は優斗さんにされるがままだ。
そしてその手がどんどん上に上がって、乳首に触れてきた。
ぎゅっときつく摘まみあげられる。
「ン、んんっ!!」
情けないくらいにびくついてしまう。
優斗さんの指で弄られてそこからどんどんしびれるような刺激が広がってくる。
やばいくらい気持ちいい。
久しぶりのセックスだからか、いままでで一番じゃないかってくらい全身が敏感になってるのがわかった。
ぴちゃぴちゃと音を立てて絡まっていた舌が離れて、ようやく唇が離れる。
はぁはぁ、って荒い息を吐く俺とは反対に優斗さんは涼しげな顔で濡れた唇をぺろりと舐めてて。
それがめちゃくちゃ色っぽくて――なんかもうわけわかんなくなっていく。男相手なのに、なんていうのはもうどっかへ飛ばされて、張りつめてる息子を開放したくって、もっともっと刺激が欲しくてたまらない。
「気持ちいい?」
俺の乳首を執拗に弄り続けながら微笑する優斗さん。
「……ん、っは、……は、い」
上擦って答えたら優斗さんはさらに微笑んで、「脱ごうか」って俺のTシャツに手をかけた。
少し身体を起こされてTシャツを脱ぐ。
だけど後で手を縛られているから脱ぎきることはできなかった。
「……優斗さん」
脱げない、って言おうとする俺に優斗さんはさらりと返す。
「ちょうど縛ってる部分に絡まって良い感じだね」
「……で、でも」
「なに?」
「……いえ……」
縛ってる部分に絡まったら手抜けれなくなるじゃねーの!?
せっかく緩めに縛ってあるネクタイなのに、Tシャツのせいで簡単には手を抜けそうになかった。
わざとなのかそうじゃねーのか、初対面の俺に優斗さんの笑顔の裏は読み取れない。
ちょっと不安になったらまたキスが降ってきた。
今度は少しだけ舌を絡ませて、すぐ離れた。
リップ音をたてながら優斗さんの唇が首筋、鎖骨、って感じにだんだん下へと下りていく。
さっきまで手で弄られてた乳首が今度はねっとりと舌でなぶられて、女みたいに喘ぎそうになって歯を食いしばった。
「……捺くん」
快感に目をつぶって耐える俺に優斗さんが呼びかけてきて薄く目を開ける。
「声、我慢したら駄目だよ?」
「……でも……」
だって、絶対ヤバイ。
一度出したら声止まんなくなる気がする。
無理だ! 無理無理無理!
恥ずかしすぎる!! 初対面のひととエッチなことしてて、相手男で声上げそうとか恥ずかしくないか!?
ブンブンと首を横に振ると優斗さんは苦笑した。
「しょうがないなぁ。捺くんは。経験豊富そうなのに、素直じゃないね?」
経験は豊富だけど!
でもそれは女の子相手であって――、男とは……。
だけどそんなこと言えないから黙って視線を逸らした。
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