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第96話
「大丈夫? 捺くん」
ちゃんと豆から挽いたコーヒーのすっげぇいい匂いが部屋に充満する。
ベッドのスプリングが軋んで優斗さんが腰を下ろして俺の顔を覗き込む。
「……だ、大丈夫」
へらって笑ったけど――ぶっちゃけめちゃくちゃダルイ!
そりゃ、ヤってヤってヤりまくりゃー、さすがに疲れるわけだ。
「コーヒー飲める?」
「……ん」
のそのそと起き上がろうとしたら、サイドボードにコーヒーを置いた優斗さんが抱き起こしてくれて、そのまま背後から抱き締められるようにして腕の中。
「はい、どーぞ」
って、コーヒーふうふうして飲ませてくれて。
「……ありがと」
照れるけど笑ってお礼を言えば、優斗さんも笑って、そんだけで気分がふわふわする。
それからベッドに寝転んで、お昼ごはんを食べに行こうかーとか、どこか行こうかーとか話して、 キスして、とりあえずまた朝っぱらから愛の確認儀式はじめて――。
脳みそ絶対溶けるってくらい幸せな日々が始まる予感がした。
最初、俺は快感に目隠しされてなんにも見えなくなってた。
でも目隠し外して、ちゃんと前を見たら――優斗さんがいて。
繋いだ手を、そばにいる優斗さんを、もう見えなくならないように今度はちゃんと見続けていこうって思ったんだ。
「優斗さん」
「ん?」
「俺のこと好き?」
「好きだよ」
「じゃあ、キスして?」
ちゅ、ってキスが落ちて、
「もっと」
って、ねだって。
そんなバカみたいなやりとりを何度でも繰り返した。
BLINDFOLD + END。
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