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第60話(マイク)

サラは午後には俺のPCや顧客台帳の他に生活必需品を持って来てくれた。 スティーブの広い家だと落ち着かない気分になってしまうが、そんな事を言っている場合じゃない。 同業の花屋のアンナに連絡して、ホテルやレストランへの定期配送の花は代わりに行ってもらった。 他にも花の仕入れ先や、資材の納品業者と打ち合わせ。 壊れた花瓶の再発注。 内装や冷蔵庫、壁や床はWIAに任せている。 一通りの仕事が終わるとすっかり日が暮れていた。 「マイク」 ちょうどブライアンが戻って来た。 「ブライアンお帰り。ご飯食べた?」 「いいや」 「良かったら、ポトフ作ったんだけど食べない?」 仕事の合間に、サラに了解を得てキッチンを拝借した。一応、得意料理のポトフを作って煮込んでいる。 「ありがとう、シャワー浴びて着替えて来る」 「キッチンに準備しておく」 最初は頭がおかしい奴だとか思ってしまったけど、何となくブライアンとは気が合うような気がする。どこか懐かしいような不思議な感覚。 ブライアンが口説いて来るのは、どこまで本気なのか分からなくて反応に困るんだけどね。

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