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第61話(スティーブ)

メキシコ最大の麻薬カルテル「ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン」。 メキシコ国内の拠点は、ハリスコ州にある。 2009年にハリスコ州の地方警官だったネメシオ・オセゲラ・セルバンテスと、彼の義兄であるアビガエル・ゴンサレス・バレンシアにより創設された。 その後は内部闘争を繰り返しながら急速に拡大し、構成員は数百人とも言われている。 そして現在のトップがマルティネスだ。 ハリスコ州の中心部にある元スペイン貴族の洋館跡が本拠地になっている。 ジェットを近くの開けた場所へ着陸させると、ステルス機能を使って隠す。 4人は周囲を警戒しながら洋館へ近づいた。 偵察用小型ドロイドを飛ばし、熱センサーで建物内に居る人数を確認。 門番2人、外の見張りに6人、建物内には11人が居た。 ダイヤモンドが鉄よりも硬い手で裏口の鍵を壊し4人は中へ侵入する。 アイスマンはすぐ様エントランスへと向かい、入り口を氷漬けにした。これで外の見張り達は入って来れない。 他の3人は廊下を進む。 左手の部屋に4人。熱センサーが探知している。 ドアを開け、スティーブは一気に男達に飛びかかった。 1人を殴り一撃で倒すと、そのまま体を捻り1人を蹴り倒す。 「Quién es usted? Donde fue que usted vino?(お前は誰だ?どこから来た?!) 椅子に座っていた男が、銃を構え振り返るが発砲する前に素早く奪い、男を床に叩きつける。 最後の1人はスティーブの背後からナイフで襲いかかったが、ナイフは宙をかすめた。スティーブはナイフを避け、勢いよく男を背負い投げた。 全て僅か20秒。 「俺達、必要?」 レッドが呟く。 スティーブは笑顔で肩を竦めた。 「スティーブは帰りを待っている人が居るから仕方ないわよ。早く帰りたくて仕方ないのよ」 ダイヤモンドが笑う。 「さあ、さっさと片付けよう」

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