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第3話

 まさかの事態に顔も首も腕も真っ赤になっていくのを感じる。 「それにさ、好みのタイプが〜ってやつ、俺、幼くて可愛い感じのタイプって言ったやつですか?もしかして」 「そそそそーだ!!!年下って言った!!!」 「いや、幼くて可愛い感じで黒髪のサラサラストレートがタイプって言ったんですよ。あんたにターゲット絞って言ったつもりだったんだけど、全然理解してなかったんですね?食事誘っても反応無かったし、完全に振られたと思いましたよ、こっちは」 「っぅえ!!??」  た、確かにあまりのショックで後半何を言われたかあまり覚えていなかったが、そんな、まさか……。 「ち、茅ヶ崎……お前、僕の事、か、可愛いって思ってたのか!?」  思わず詰め寄る僕に、茅ヶ崎が唇を尖らせて少し顔を逸らす。 「まぁ……あんた、顔可愛いし、なんか見てると面白いし、もうちょっと近くで見てみたいとは、思ってましたね」 「なんと!?そ、そうか……」  ジワジワと込み上げる喜びに思わず顔が弛む。そうか、可愛いか、成る程成る程。フラれたと思っていたが、まさか僕の方がフッていたなんて!やっぱり僕の可愛いさは世界共通宇宙の真理だったのだ!! そこで、ふと僕はある事実に気付いてハッとする。 「それでは、お前に振られた腹いせに、今度はゲームで告白させて振ってやろうとBLゲームを作っていたのはなんだったんだ!?」 「え、このゲームそんな事の為に作ったんですか?」  しまったー!!敵に手の内を明かすとは、最も悪手!!いや、もう敵ではないのか?なんだか混乱してきた。 「う……いや、勿論、今後商業利用は出来る様にしてあるんだっ。風俗店を中心に一台一千万で卸すつもりだ。」 「高っ!」 「既に予約完売済みだ」 「マジですか。とんでもねぇ世の中だな……つーか、風俗店に卸すって事は、やっぱりそうゆうことも込みなゲームなんですね」 「当たり前だっ!ヌケないBLゲーはBLゲーではないと同僚の田中が言っていた!!僕は田中に教わってBLゲームを何個か嗜んで勉強した結果、最先端かつ最高峰の物を作り上げたつもりだ」  同僚の田中はエロゲーの達人と言われておりあらゆるエロゲーに精通しているのだが、BLゲーは意外にチ○コが沢山出てくるからイイぞ、と良作を何個か僕に教えてくれたのだ。いわばBLゲームの師匠とも言える。彼なくして「放課後BOYS〜ヌケないBLゲーなんてBLゲーじゃない!〜」は完成しなかったと言っても過言ではない。田中への感謝の意をこめて、田中のよく言っていた言葉をサブタイトルに入れてみた。 「フーン……田中さん……ね……イイ人なんですね……」 茅ヶ崎の目が気のせいか一瞬暗い光を帯びた気がした。 「そ、そうだ。田中は僕の初めての友達と言ってもいい存在で、田中の指導でこのゲームが出来たようなものだ」 「ふーん……まさか、こっちの指導もされたわけじゃないでしょうね? 」  突然茅ヶ崎が僕の尻肉を揉んできた。 「ひっ!ななな!?なんのことだ!? 」  茅ヶ崎は尻を揉みしだいていた指をツーと動かし、なんと、ズボンの上から尻穴の場所に指を食い込ませる。 「いや、しらばっくれないでくださいよ。まさかもうここに入れられたんじゃないでしょうね 」 「い!?な、何を!? 」 「いやいや、ちんぽに決まってんでしょ 」 「は!?そ、そんなもの!!入るわけないだろうが!!! 」  恐ろしい事を言ってくる茅ヶ崎に、僕は顔面蒼白で答える。茅ヶ崎は首を傾げながら両手を挙げて僕を解放した。 「ちょっと待ってください。……18禁BLゲーム作ったんですよね 」 「そ、そうだ!この僕が作った!! 」 「うーん……シナリオも全部由羽先輩が? 」 「いや、ぼくは登場人物をデザインして大まかな流れを作っただけだ。詳しいシナリオは田中にお任せしてしまった。どうも文章の才能が無くてな。天才な僕にも弱点があったという事だ。ただシステムは全部僕が作った 」 えへん、と胸を張る僕を、成る程と言って茅ヶ崎が頷いた。 「ちなみに……田中さんに貸して貰ったBLゲームって……」 「『フタナリ★男の子の性教育❤︎』と『全寮制男子高にフタナリな僕が突入したら!?』だ」 「はぁ……成る程……よっく分かりました……田中さんはチ○コだけ求めてBLゲーやってたんですね。逆にホッとしましたよ。つーか、BLゲーって言うのかも微妙だな」  茅ヶ崎はライバルってわけじゃなそうだ。と呟いて改めて僕の背に手を回して、また尻穴をズボンの上からそっと撫でてきた。 「それじゃあ先輩は、俺とそうゆうエッチな事をしようと思ってこのゲームを作ったんだ?」 「は!?な、何を言ってるだ!?そ、そんなわけないだろうが!?」 「本当に?」  じっと茅ヶ崎に見つめられると、僕は何故か嘘がつけなくなってしまう。 「う……キスくらいは……出来るかと思った……」 「かっ……!!!」  突然茅ヶ崎が大声を出して屈み込んだ。 「ど、どうした、茅ヶ崎?『か』がどうしたのだ?『か』に何があったのだ?だ、大丈夫か?」  僕はオロオロと茅ヶ崎の様子を伺うが、茅ヶ崎は何やらブツブツ呟きながらなかなか起き上がらない。  やっと起き上がったと思った茅ヶ崎の目は明らかに座っている。 「ち、茅ヶ崎?」 「じゃあ、しましょう。今すぐ。してあげますよ」  そう言って僕の尻たぶを掴んだままもう片方の手を僕の後頭部に回してぐっと顔を寄せてきた。 「な!?」  思わず叫んだで開いてしまった口に茅ヶ崎はそのまま舌を強引に入れ込んでくる。歯の裏を舐められ、舌を吸われ、口内を好きに蹂躙されて、僕はなんだか意識が朦朧としてきた。チュッといやらしい音をたてて茅ヶ崎が一度僕の口から出て行く。 「ふっ。由羽先輩、息、吸い方分からないんですか?鼻で吸うんですよ。やってごらん」  こうやってと見本を見せられた通りに僕も鼻で息を吸ってみる。そうすると、いい子♡と言って茅ヶ崎がキスを再開してくれた。  今度は僕も少し余裕が出来た。茅ヶ崎が息を吹き込むようにキスをしてくれば、吐息を吸うように茅ヶ崎の舌を含んでみる。ゲームの世界のはずなのに茅ヶ崎の舌が甘く感じるのは気のせいかーー。  茅ヶ崎のキスは濃厚なのに甘くて、強引なのに気持ちいい。僕が初めてのキスに夢中になっていると、茅ヶ崎がキスをしながら喉の奥で笑った気配がした。 「キス、好きになったんだ?」 「ん……」 「でも、先輩このゲームはさ、18禁ゲームなんだから、キスぐらいじゃ終われないよね」

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