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05 恋心(4) ~リュウジ~

体育の授業の前の時間。 俺は、夏空を眺めながら、今日の作戦を思い返していた。 これで、やっとアオイを卒業できる。 ふふふ。 アオイは、そんな俺の表情を見て話しかけてきた。 「リュウジ、どうしたんだ? 楽しそうだな?」 「えっ? ああ、そうだな。だってよ。今日はこの後の体育はプールだろ?」 「ああ。プールだな。あっ、そうか、リュウジは水泳得意だもんな!」 「ちげぇよ。水着だよ。水着。ほら、今日は女子も一緒だろ?」 「ん?」 アオイは、ハテナ顔になった。 俺は、しょうがねぇな、と説明をする。 「アオイ。女子のスクール水着だよ。お前だって、興味あるだろ?」 「ん? あっ、あー。スクール水着ね。そっか、そうだな……なるほど」 「おいおい、アオイ。なんだよ。その口調」 なんだか気が抜ける。 健全な男子高校生なら、まずはそこだろとツッコミを入れたくなる。 しかし、アオイの事だ。 俺は、もしやと思い、問いかける。 「なぁ、アオイ。もしかして、アオイって女子の水着姿に興味ないの?」 「へ? な、何言っているんだよ! もちろん、あるさ。オレだって男だからな!」 アオイは偉そうに口を尖らせて言ったけど、すぐに声のトーンを落として続けた。 「って言いたい所だが……いや、じつはそんなに興味ない。だってよ、家ではさんざん女の裸を見てるからなぁ」 「ちぇっ……うらやましいぜ、こいつ!」 俺はアオイの頭をしゃかしゃか撫でる。 アオイは、嫌がる風でもなく、片目をつぶって言った。 「ふふふ。ほら、はやく行こうぜ! プール」 体育の授業が始まった。 プールには水しぶきが上がり、夏の日差しを受けてキラキラ輝く。 テンションは最高潮。 いやー。スクール水着が眩しい! 女子達いい体してるよな! と思いきや、実際には俺の視線はどこに向かったのかというと、じつは、アオイの水着姿。 俺のペニスは、はちきれんばかりに勃起。 アオイの乳首に釘付けで、目が離せない。 真っ平な胸に小さな乳首。 でも乳輪がほんのり膨らみ何だか美味しそう。 触りたいし、舌を這わしたいし、しゃぶりたい……。 くそっ、これはいったい、なんだっていうんだ。 俺はどうなっちまったんだ。 意識して女子に目を向けるのだが、いつの間にかアオイを目で追ってしまう。 アオイは、俺があまり女子の方を見ていないのに気付いて声を掛けてきた。 「なぁ、リュウジ。目の保養、あまりしてないみたいだな」 「えっ? あ、ああ、じっと見たんじゃ、エロ認定されちまうだろ?」 俺は誤魔化すように答えた。 今も、さりげなくアオイの乳首をちらちら見てしまう自分がいる。 アオイは、まったく気づいていないようで、笑いながら言った。 「ははは。確かにな。女は怖いからな」 「あはは。アオイ。お前がいうと、冗談に聞こえないぞ?」 「ふふふ、そうだな。なぁ、リュウジ。勝負しないか? クロールで。負けた方はアイスな!」 「いいぜ!」 俺は、すくっと立ち上がった。 やべぇ、勃起が……。 ということで、転がるようにプールに入水した。 クロール対決の方は、アオイを追う展開。 水中で斜め前に見えるアオイの姿。 この細身の体のどこに、こんな体力があるっていうんだ。 アオイは、一足先にゴールした。 俺も、ようやくゴールにタッチして、顔を上げた。 「はぁ、はぁ……はえぇな、アオイ」 アオイは、満面の笑みで俺を見る。 「はぁ、はぁ……オレの勝ちだぜ!」 嬉しくて、嬉しくて、仕方ないという無邪気な笑顔。 俺は、そんなアオイの笑顔が眩しくて目を逸らす。 「……ったく、しょうがねぇ。負けたよ、アオイ」 「ふふふ。リュウジ、アイスおごれよ!」 息を上げながらアオイは手を伸ばしてきた。 俺も手を伸ばしてその手に触れる。 トクン……。 えっ!? なんだ。 時が止まった。 また、胸の高鳴り。 猛烈に心臓がドキドキしている。 この状況、何か変だ。 今は別にアオイのエロ下着姿なんか想像していない。 これっぽちもエロい事は考えていないんだ。 なのに……。 まさか!? そして、俺は気付いた。 気付いてしまった。 アオイの事が好き……なんだ。 俺は勘違いしていたのだ。 女の姿をしたアオイに、女を感じてドキドキした。 そう思っていた。 しかし、全くの勘違い。 何故なら、今のアオイの姿は男そのもの。 そんなアオイに、こんなにもドキドキしている。 男とか女とか関係ない。 アオイ自身。 そう、俺はアオイの事が好きなんだ。 その夜。 俺は、夢の中でアオイとまぐわる夢を見た。 今までのように女としてのアオイではない。 男としての素のアオイとだ。 キスをし、体中を愛撫し、そしてアオイの中にペニスを挿入した。 体中が満たされて、アオイへの想いがペニスの先から吹き出す。 何年かぶりに、夢精をしてしまった……。 なのに、罪悪感はまるでなく、すごく充足した気持ちになった。

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