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04 恋心(3) ~リュウジ~

次の日の学校。 俺とアオイは、いつものようにつるむ。 そして、楽しく会話する。 身近なニュースや授業の事、もちろんユーチューブの動画の事。 しかし、そんな会話の中で、ふと昨日の事が頭をよぎった。 目の前のアオイは、やはりいつものアオイ。 女顔かと言えば、確かにそうかもしれないが、女ではない。間違いなく男。 昨日のアオイは何だったのだろう? 確かに別人に見えた。間違いなく女だった。 言わば、アオイ似の女子ってところだ。 で、ちょっと考える。 もしかして、あまりに急な事で、俺は混乱していただけなのではないか? いきなり友達の下着女装を目の当たりにしたのだ。 平常心を保っていられるはずがない。 うん、なるほど。 確かにそうだ。 よくよく考えてみれば、普通、友達の女装姿を見たら笑ったり茶化したりするものだ。 昨日は、そんな事はいちミリも思わなかった。 つまり突然の事で圧倒されていたってことなんだ。 俺がそんな事を考え込んでいると、アオイが話し掛けてきた。 「どうしたんだ? リュウジ?」 心配そうに俺の顔を覗き込む。 俺は、はっとしてアオイを見返した。 俺はアオイに言った。 「なぁ、ちょっと聞いていいか?」 「ん?」 「今日も、その中は女物のパンツか?」 「ははは。そりゃ、そうだよ。今日は体育ないだろ?」 「そっか……」 俺は何気なくアオイのズボンを見つめた。 そのズボンの中にはパンティ姿のアオイがあるのか……。 ドクン、ドクン……。 えっ? どうして、胸がドキドキするんだ? アオイは、笑いながら言った。 「なんだよ、リュウジ。もしかして、見たいのか? オレのパンツ」 「ばっ、バカ! んなことあるかよ」 「ははは。だよな!」 アオイは大笑いする。 でも、俺の胸の鼓動は早いまま。 やばい。 何だっていうんだ。 俺が自分の異変に気付き焦っていると、アオイはいつものように会話を始めた。 「それよりさ、ユーチューバーのセカンドチャンネル見た? 毎日チャレンジシリーズ!」 「おう、見た見た」 会話の受け答えをしていると、少しづつだが、鼓動が収まってくる。 ふぅ……危ない。 でも、いったい何だったのだろう……。 俺は、治り行く自分の胸をギュッと押さえながら、まさか病気じゃねぇよな、と思ったりした。 その夜。 家に帰って、ベッドに寝そべる。 天井を見ながら、今日の事を思い出して無意識につぶやいた。 「オレのパンツ見たいのか? か……見せてもらえばよかったかな……レースの可愛いパンティーだったな、今日はどんなのを穿いていたんだろう……」 想像していると、むくむくと股間が熱くなってくるのを感じた。 へ? 俺は驚いて、バサッと起き上がった。 そして、ジャージのズボンとパンツのゴムを指で広げてみた。 見事に勃起したペニス。 はぁ、なんてこった……。 もしかして、ドキドキの正体ってこれか? つまり、アオイの下着姿に女のエロスを感じた。 グラビアアイドルの写真を見た時のように。 「はぁ……よりによって親友の女装姿に萌えるとは。彼女いないからな俺……女っ気に充てられたってか? はぁ……」 俺はため息をついた。 生の下着姿の女子なんぞ、生まれてこのかた一度も見たことがないのだ。 もちろん、見たくない母親の下着姿は除く、だが。 だから、男とはいえ女の下着姿は、童貞の俺には刺激が強すぎたって事なのだ。 とはいえ、アオイの下着姿を想像しただけで、これほどまでに興奮するとは。 欲求不満であることには間違いない。 「すまねぇ。アオイ。今日は、お前の女装姿をオカズにさせてくれよ」 俺は、そのまま自分のペニスを握ると、しごき始めた。 アオイのズボンを下げると、そこには例のセクシーな下着。 そうだな、黒のTバックなんかどうだ? むっちりとした太ももと、ぴっちりとしたパンティの食い込み具合。 そして、股間のさりげない膨らみ。 ああ、すげぇ、エロい……。 やばい、こんなのすぐにいっちまう……。 「いくっ……」 俺は、あっと言う間に射精していた。 次の日。 俺は、朝起きると歯を磨きながら、そうだ、昨夜はアオイでオナニーしちまったんだよな、とズーンとした気持ちになった。 これはさすがにやってはいけない事。 何とも言えない罪の意識が俺を襲う。 鏡に映る自分を見て、はぁ……とため息をついた。 そして呟いた。 「彼女ほしいな。それで、彼女の下着姿が見たい……」 学校で、アオイと顔を合わせるのだが、いつものようで、いつもじゃない。 なんだか気恥ずかしい。 アオイは、そんな俺の微妙な変化を見逃さない。 「なんだ? リュウジ。お前、変だぞ。何か熱でもあるんじゃないか?」 「は? んなことあるかよ」 「顔が少し赤いぞ。それに何か落着きがない……」 「バカ、気のせいだって……」 「そっか?」 俺は、うざそうに手を振るが、ズボンの中ではギンギンに勃起しているという有様。 うわっ……なんだよこれ。 俺って、どれだけ欲求不満なんだよ。 親友をオカズにしてオナニーをする。 最初こそは、罪悪感を感じたが、2回目からはさほど抵抗はなくなった。 実のところ、アオイの女装姿は俺が理想とする女性像なのだ。 ある日の晩、ベッドに横になっていつものようにオナニーを始めるのだが、 「さてと、今夜のアオイはどんな女装姿にするかな。紐パンにするか……そうだ、俺に迫ってくるのはどうだろう? 下着姿のまま俺の膝に乗ってきて、そのまま……」 と、そんな言葉を自然と発して、はっとした。 いつの間にか、下着姿を想像するのでは飽き足らず、その先もオナニーのネタにしていたのだ。 これには、さすがにサッと血の気が引いた。 まずい。 このままでは絶対にまずい。 アオイはいくら女のようで可愛いといっても、中身は男。 このまま、アオイをオナニーのおかずにするのは、なにか大事な一線を越えてしまうのではないか? と、俺の男の本能がストップをかける。 正常な俺に戻らなくてはいけない。 そこで、思いついたのが、明日の時間割。 たしか、体育の授業は男女合同のプールだったはず。 俺は、にやりとして独り言を言った。 「クラスの女子には悪いが、スクール水着姿を拝ませてもらって、今後のオナニーのおかずにするかな。ふふふ」 俺は、ようやく、しごく健全な男子高校生の思考に戻ったのだった。

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