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10 親友(3) ~アオイ~
部屋に来た。
なんだか、気まずい。
急に風呂場を飛び出したんだ。
怒っているかも。
チラッとリュウジを見ると、なぜかオレの顔をうかがっている。
あーだめだ。親友なんだから、ちゃんと話さないと。
オレは意を決して、リュウジに話しかけた。
「なぁ、リュウジ! 怒っているか? オレが急に風呂場を出ていったから」
「ん? いや、そんな事は気にしてないぞ」
リュウジは、ポツリと答えた。
「じゃあ、どうして、そんなに、無口になっている?」
「ああ、それはな……お前がいきなりオナニーするから面食らったんだよ」
オレはちょっとホッとした。
「ああ、それか? ははは。なんだ、オナニーぐらい。お前、男だったら、して当たり前だろ?」
「いや、そうだけどさ。人前ではしないぞ? ふつう」
「人前って、他人行儀な……親友同士だろ、オレ達? このくらい、オレは全然恥ずかしくないな」
「あはは。お前ならそうかもな」
リュウジは笑う。
オレもつられて笑った。
なんだ、リュウジはびっくりしただけか。
リュウジが変な事を言うから、オレはいろいろ混乱してしまったぜ。
うん、これで元どおり。
何のわだかまりもない男同士の関係。
そうとわかれば、遠慮はなしだ。
今度はリュウジの番。
「よし! オレはオナニーしたんだ。リュウジ! お前もしたらどうだ?」
「な!?」
リュウジは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「ほら! おあいこってやつさ。それに、まだ勃起しているんじゃないか?」
オレは、面食らっているリュウジのズボンをスッと脱がす。
そこにはビンビンになった男の物があらわになった。
「ほら! やっぱりだ! 遠慮はいらねぇぞ。なんなら、オレがケツの穴に指つっこんでやろうか?」
「ばっ、バカ! いいよ……」
後退るリュウジ。
オレはその後を追う。
「遠慮はいらないって。手伝ってやるよ」
「いっ、いいよ……アオイ」
リュウジは、手のひらを広げ懸命に振る。
ふふふ。
何を慌てているんだよ。リュウジは……。
「アオイ、マジで大丈夫。マジで……」
オレは可笑しくてお腹を抱える。
「なんて顔だよ……リュウジ。ふふふ、お前、可愛いなぁ」
「お、お前な……アオイ」
リュウジは、顔をしかめた。
オレは、そんなリュウジの顔を見て、ため息をついた。
ちょっと残念。
せっかく気持ちの良いオナニーを教えてやろうって思ったのに。
でも、最初は確かに勇気がいる。
と、ある考えが閃いた。
あれちょっと待てよ。
つまり、勇気だったらオレの方がリュウジより上って事じゃ無いのか?
オレは、そんな事を思って勝ち誇ったように笑みを漏らした。
ところで、リュウジはあそこを大きくしたままなかなかオナニーを始めない。
オレは不審に思い尋ねた。
「なぁ、リュウジ。オレが見てるとオナニーしずらいか?」
「はぁ、はぁ……いや、そんな事はない。じっと見てていいぜ」
心なしかリュウジの息が荒い。
そうなのだ。
リュウジは、オレが普段着に着替えるとちょっと様子が変わるのだ。
まぁ、親友とはいえ女の格好をしているんだ。
オレの格好を見て、そこら辺の女をだぶらせて妄想しているのかもしれない。
まぁ、そうだよな。仕方ない。
健康な男子だったらエッチな事をいつでも考えているものだ。
ちなみに今日は、へそ出しのタンクトップにホットパンツでいわゆるお色気とは無縁のスタイル。
だから、普通の男子がそそられる要素は無いと思ってはいたが……。
ふと、前に誰かから聞いたある事を思い出した。
いつだったか、あれは確か中学生の時。
彼氏持ちの女友達がいて、彼のを舐めてあげたら大喜びしたと言うのだ。
舐めて本当に気持ちいいのか真偽はともかく、親友のリュウジだったら舐めてやってもいいな、と思い立った。
オレは提案する。
「じゃあさ、オレが舐めてやろうか? お前のペニス」
「えっ?」
リュウジは驚きの目をオレに向けた。
「だって、舐めると気持ちいいって話だぜ。お前も気持ちいいかもよ?」
「いっ、いいって……お前、フェラなんてしなくて」
「フェラ? ああ、フェラって言うんだよな。いや、リュウジ、遠慮はいらないよ。もとはと言えば、オレが勝手にオナニーしたのがいけないんだしよ」
リュウジは、また焦り出す。
何だか今日のリュウジはオドオドして可愛い。
オレは、構わずにスッとリュウジのペニスを握った。
えっ!?
オレは驚いた。
大きいだけじゃない。
物凄い固いのだ。
オレは、嘘だろ!? と、両手を使って調べる。
鉄の棒。
それでいて弾力もある。
それが熱を帯びて脈を打っているのだ。
オレのだって固くなるけど、遠く及ばない。
こんなの初めて。
何故か胸がドキドキする。
オレがリュウジのをこねくり回していると、はぁ、はぁ、とリュウジは息を荒くする。
顎が上がり気持ち良さに必死で耐えている。
ふふっ。何だよ、リュウジは。
ちょっと触っただけなのに、敏感な奴。
オレは、顔を近づけて舌を伸ばす。
そして、先端部をペロリと舐めた。
リュウジは、「うっ」っと呻き声を上げた。
レロレロと先端から裏筋を舐め回していると、リュウジのペニスはさらに赤く充血していく。
真っ赤に熟れた苺のよう。
美味そう。
オレは、パクっと口に含んだ。
「あぁぁ、アオイ……」
リュウジは、脚をぴーんと伸ばす。
腿の筋肉が硬直してムキッと浮き出る。
オレは優しくその腿を指先で撫でながら口を動かした。
「アオイ……あっ、ああぁ……」
リュウジは体を左右に振って歯を喰いしばる。
そんなに気持ちいいのか?
ちゅっぱ、ちゅっぱ、といやらしい音を立てしゃぶり続ける。
リュウジのペニスは、オレの唾液と先っちょから出た我慢汁が混ざってテカテカに輝き始めた。
やばい。
オレもなんか変な気持ち。
ただ、ペニスを舐めている。
それだけなのに……。
リュウジが呻き声を上げ、オレの名を口にするたびに、体の芯がゾクゾクして下腹部が熱くなる。
オレまで息が荒くなる。
「はぁ、はぁ……リュウジ、オレ、変な気持ちになってきた……」
オレがそう言うと、リュウジはいきなりオレの頭を押さえ、ググッとペニスを喉の奥まで突っ込んできた。
うっ……ううう……。
オレは呻き声をあげた。
苦しい……何て事をするんだよ……。
そう思ったが、苦しいはずなのに体は拒絶していない。
喉の奥までペニスが入ってきているっていうのに、逆にリュウジのペニスを受け入れられて何か満足感に似た喜びを感じている。
でも、苦しいんだ。
涙が出てきた。
オレは、限界まで我慢してリュウジのペニスを吐き出した。
「ゴホッ、ゴホッ……はぁ、はぁ、はぁ……」
よだれが滴り落ちる。
一息ついたと思ったら再びペニスが口の中へ。
また喉の奥にまで入ってくる。
やめろ……苦しい。
でも、一方でもっとしてくれ。と相反する感情が入り混じる。
もう、何が何だか分からない。
気付くと、視界がぽやっとしていた。
ああ、これはアナルでいくときと同じ感じ。
ダメ、いきそう……。
オレがそう思った時、リュウジの声が耳に入った。
「いくっ! アオイ! いくーっ!」
それは、オレの頭の中で何度もリフレインした。
そしてふあっと消えていった。
オレもいつの間にかいっていたのだ……。
リュウジは、手をついて頭を下げた。
「マジで済まなかった。アオイ、ごめん!」
オレはちょうどティッシュで口を拭っていた。
「……まぁ、いいよ、リュウジ。気持ちよかったんだろ?」
「ああ、それは最高に気持ち良かったよ」
「ならよかったよ。お前の役に立ててさ」
これは本音だ。
実のところ、オレもフェラをする側もこんなに興奮するものだとは知らなかったのだ。
しかも、アナルを刺激していないのにいってしまうとは、全く予想外。
気持ちよかったのは、まぁ、お互い様だ。
だから、そうかしこまれると胸が痛む。
「でも、アオイ。苦しかっただろ? 俺、我を忘れてしまって……」
「ははは、気にするなって」
それにしても、リュウジの奴は、途中から絶対にオレを女と勘違いしてたな……。
あんなに激しく突っ込んできやがって。
見境ないぜ、男のオレがフェラしているってのによ。
でも、これが男の性欲って事なんだ。
荒っぽいし激しい。
いつかオレもこんな風に雄々しくなりたい。
そしてその反面、実はオレのフェラが女並みに上手かったから、リュウジをその気にさせたとも言えるな、と思ったりもした。
そう思うと、今のオレだってそう悪くない。
親友のリュウジを気持ちよくさせてやれるんだから。
オレは、まだ申し訳なさそうにしているリュウジに声を掛けた。
「リュウジ、また、一緒にオナニーしようぜ! やっぱり男同士って良いな!」
「ははは、そうだな。アオイには敵わないよ」
「そうさ! 親友!」
オレは声高々とそういって、リュウジの肩をトントンと叩いた。
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