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第2話

担任が入ってくるなり教室中がざわついた。 色めき立つ声と脚が長げぇと言ちる声。 三条も一瞬でその人に視線を奪われる。 今日の担任は細身のブラックスーツを着こなしていた。 そっちに見られるから、といつもは着丈が短く細身過ぎない物を着用している長岡の珍しい姿。 三条はくりくりした目を大きくして、その姿をじっと頭に焼き付ける。 「先生、今日のスーツ格好良いね」 「チャラいって。 教師に見えねぇ」 「写真撮らせて」 クラスメイト達が言う事も激しく同意するが、三条は他の感情も抱いている。 その……なんと言うか、えっちぃ。 脚の長さも去ることながら、スタイルの良さがぐんっと引き立てられている。 黒で絞まって見えるからだろうか。 いや、あの身体を思い出せばそれを活かしていると言った方が正しいな。 すらりと長い手足を惜しみ無く強調し、腰回りは細くも男を滲ませる。 胸板を想像してしまうのは、そこが逞しいと知っているからだ。 それに出席簿に視線を落とす目元も色っぽい。 後孔がきゅぅっと締まったのは知らないフリをする。 「ありがとうございます。 褒め言葉として受け取っておきます。 写真は撮りませんよ。 えー、欠席の連絡はありません。 全員居ますね」 だが、当の長岡はどこ吹く風と淡々と業務を進めている。 その対応すら大人っぽくて見惚れてしまう。

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