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第38話

カシュッと小気味良い音と共に開栓されたアルコールの缶をぶつけると、長岡は綺麗な笑顔をむけてくれた。 ドキッとするのは此処がラブホテルだからじゃない。 本当に顔の良さを理解していない恋人は危険だ。 喉仏が上下するのでさえ、えっちぃ。 場所のせいもあってよりそう思ってしまう。 やましい想像をふり払うように三条もアルコールを喉へと流し込んだ。 飲んでいると隣から痛い程に視線を感じる。 えっちだなんて思っていた事がバレたなんて事はないと思うが、なんだろう。 「…あの、なにか…?」 「いや、本当に飲んでんだなって思って。 だってこの間まで未成年だったろ。 A組も飲めるようになるなんて感慨深けぇな」 「先生みたいです」 「本物だって。 でも、はじめてのクラスだったからな。 特別だよ」 “特別” そう言って貰えてとても嬉しい。 A組の事だと分かっていてもだ。 田上や吉田、知佳ちゃんに未知子ちゃんも含まれている。 クラスメイト達は皆良い友達だ。 そんな友達を“特別”と褒められるのは誇らしくて嬉しい。 頬を緩めると隣から大きな手が伸びてきて、その指が頬を撫でた。 「その顔はまだ子供だな」 「もう20歳ですよ」 「大人?」 「…法の下では」 「そんな子とセックス出来んのか。 燃えんなぁ」 一笑した、その顔の良さはやっぱり艶やかで危険だ。

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