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第49話
同じく床に放られた下着が、行為のはじまりを強調するようだ。
ごくんっと音をたてて唾液を飲み込んでしまい慌てて口元を隠した。
やば
音が…
それなのに長岡は嬉しそうに口角を上げる。
「俺の身体で興奮してくれた?
それとも、期待?」
「…それ、は」
「それは?」
「…………ど、ちも」
「ははっ、光栄だな」
また唇を触れ合わせ気持ちの良いキスに酔う。
触れ合わせるだけのキスも、唇を噛まれるキスも、舌を絡めるキスも気持ち良い。
気持ち良くて頭が上手く動かなくなる。
だけど、息が出来ない。
「ん……ん、……まっ、さ……いき…」
息が出来ないなんて長岡は知っている。
それが良いんだと言うくらいだ。
なのに息継ぎのタイミングはほんの一瞬だけ。
頭の天辺をシーツに押し付け、なんとか酸素を吸おうとするが上手くいかない。
口の中に溜まっていく唾液を飲み込むので精一杯だった。
息って、どうやんだっけ……
きもちくて分かんねえ…
敏感な上顎を舐められたらもう駄目だ。
残り僅かな酸素を全て吐き出してしまう。
「ん゛……ッ、んん…っん、」
長岡とのキスは好きだがクラクラする。
舐められる上顎も気持ち良いが唾液すら飲み込めなくなってしまった。
「ンンッ、ん…っ、」
これは扇情的過ぎる。
肩を叩き限界を伝え、そうして長岡は漸く唇を離してくれた。
繋がる糸もそのまま荒い息を整える。
酸素が美味しい。
「ハァ……ハァ…」
「下手くそ」
「……ハァ………正宗さんが、上手なだけ…です…」
満足そうにほくそ笑む顔にきゅんとする。
こんな格好良い人といやらしい事をしてるなんて、いまだに信じられない。
顔も綺麗に整っていて、同性でも羨む身体をしていて元担任で。
そして、最高の恋人。
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