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第54話
「えっちな顔…っ、して……んん、…」
いやらしい顔をした男がこっち見ている。
それに、羞恥に頬を染め口角が上がっている。
淫乱。
変態。
スキモノ。
誰が見てもそう言うだろう。
そんな性に塗れた顔をしている。
「えっちな顔して?」
「せっ、せ…くす……ぅ、んんッ」
「セックス?」
楽しそうな声で聴いてくるくせに手の動きを緩める事すらせず、後ろでにやにやと口元を緩めている恋人の目にはサディスティックな色が滲んでいた。
この目に惹かれた。
今更逃げられる筈がない。
逃げるなんて勿体ない事はしたくない。
絡んだ視線はほどける事はなく、沢山の事を伝えてくる。
「えっ、ち…、な顔……」
説明しているだけの筈なのに、アナルはきゅぅっと締まり男の指を食む。
まるで媚を売るように。
もっと欲しいと強請るように。
恥ずかしいのにやめられなくて、力を抜こうとしてるのに寧ろより一層強請ってしまうばかりだ。
自分の身体なのに言うことをきいてくれない。
「正宗さん…」
自分で聴いても甘だるい声だった。
なんて淫らな声だ。
目の前の大きなテレビ画面の中にあさましい男がいる。
「ほし…です」
その男は自分だ。
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