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第67話

まだスイッチの入っている三条を浴室の湯に浸からせたまま、ノベルティの袋を破った。 途端に広がる甘いにおい。 「いいにおい…」 「桃だってよ。 定番だよな」 それを湯槽に落とし大きく掻き混ぜる。 次第にとろみのついていく湯が、腕に纏わり付くようだ。 すっかり溶けきったのを確認してから長岡も湯船に浸かった。 甘いにおいととろとろの湯に三条の好奇心が疼きだす。 湯を掴むように手を動かしたり、掬い落としてみたり。 だからこの子は頭が良い。 「遥登、ローション風呂はじめてだろ。 楽しもうな」 「はい」 ぽやっとした三条は長岡のされるがまま。 長岡は可愛くて仕方がないとばかりに笑みを浮かべている。 おいで、と脚の上へ誘えば素直に抱き付いてきた。 いつもも十分可愛いがスイッチが入っている三条もまた可愛らしい。 違う愛らしさに口角は上がるばかり。 「ぅ、ぁっ」 背中を撫でるふりをして臀裂から首までを指でなぞった。 背中を撓らせるかと思いきやぎゅぅっと首に抱き付いてきたので更に指を動かしていく。 「んん…」 「えっちな声、可愛いな」 「ぁ…っ、」 「勃ちそ」 まるで乳首を胸板に擦り付ける様な動きを見せはじめる。 「ん、ん…っ」 「ここでも楽しむか?」 強請るような目に、意地悪く笑う自分が映る。 どうせなら、自分しか見えなくなってしまえば良いのに。 そんな我が儘を表したように噛み付くようなキスをした。

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