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第76話

放課後の教室は様々な会話で満ちている。 部活へ行こうと誘ったり、塾だと愚痴たり。 早く帰宅してダラダラしたい生徒も。 そして、三条達も同じ。 「三条。 さっき言ってた本、家に取り来るか?」 「え、良いの…? 明日でも良いよ」 「ついでに他の本も見てけよ。 好きなの借りてって良いし。 なんか用事あるか?」 同級生の長岡が鞄を手に此方にやって来る。 見慣れた制服。 見慣れた顔。 だけど、何度見てもきゅんっとする。 それを“友人”の顔で隠し、“恋人”にしか分からない表情の変化にドキドキしつつ頷いた。 そうと決まれば早く行きたい。 いや、行きたいというより2人きりになりたい、の方が正確だ。 なにせ学校ではただのクラスメイトとして接している。 早く恋人として隣に居たいと思うのは当然だ。 鞄に筆記用具を詰めてそそくさと帰宅の準備を済ませた。 「コンビニでお菓子買ってこ。 蓬ちゃん達にもおやつあげて良い?」 「良いよ。 ほんと律儀だな」 「お菓子はいるだろ。 柏くんとも蓬ちゃんとも、もっと仲良くなりたいし」 鞄を手に三条は“クラスメイト”と共に教室を後にする。 「長岡、三条、また明日な」 「また明日」 「おー」

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