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第92話

またも長岡とラブホテルを訪れたのだが、今回の ホテルも普通の部屋とはまた違う特別仕様だ。 手洗いの為に入室した洗面所で!そこから見える“特別仕様”──丸見えの浴室内を見て三条は目をパ チクリさせる。 「え…、と……」 「今度はジャグジーの部屋にしてみた」 「ジャグジー……」 いつものことながら、えっちな部屋だ。 なぜ、浴室が丸見えなんだ。 しかも、湯船が丸くてなんだかいやらしい。 更には浴槽の隣に設置された窓がやけに大きい。 これは、見られる為の浴室なのか? 見せる為の浴室なのか? そもそも、外から見えてしまった場合は訴えられるんじゃないか。 一種の露出プレイ…… それとも、トイレは見えない個室なだけマシなのだろうか…… うーん…、と頭を悩ませる。 「あの、なんで毎回普通の部屋じゃないんですか…。 俺、1回も普通の部屋に入ったことないです……」 「こういう部屋の方が楽しいから。 つか、ジャグジーはオプションだろ。 部屋自体は普通だ」 「……これが、オプション」 そう……、なのだろうか。 オプションにしてしまうには勿体ないほど立派な 浴槽。 浴室自体も大きい。 流石に2人並んで脚を伸ばすのは無理だが、一軒家の自宅の風呂より広々している。 部屋という括りで言えば、確かにここは浴室だ。 だが、浴室も部屋カウントだろう。 分からない。 すべてのはじめてが長岡なので、既に普通というものが分からなくなってきている。 それはそれで楽しいし、楽しんでいる節は否めないが。 長岡から教わる事は、悪い事でも楽しいんだ。

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