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飼ってあげる 6

話しが途切れた時を見計らっていたのか、後ろに人の気配がして、振り返るといつもお世話になっているカメラマンさんが立っていた。 オレに用があるのかと思ったら、緋音さんとも旧知の仲だったらしく、二人は挨拶を交わしながら、近況の報告などをしてて。 その後、後緋音さんはひっきりなしに挨拶しにくる人と、にこやかに話しをする。さすが大物アーティスト、愛想笑いも得意だし、人の顔を覚えていて昔の話しも出して相手の機嫌を良くすることも得意。 楽器弾いてるだけじゃ売れないことを、緋音さんはいち早く気づいていて、実践してきた人。地道な営業もさらりとこなしつつ、安売りはしない気品を保っている。 オレは、その可愛く奇麗な横顔を眺めながら、ビールを一口飲んだ。 * 珀英の打ち上げに顔を出して、夜も更けて午前1時を過ぎた。 オレは昔お世話になった雑誌の編集長さんがいたので、珀英から離れて隣に座って挨拶をして、積もる話しをしている最中だった。 「緋音じゃん!珍しい・・・」 急に頭の上の方から名前を呼ばれて、首を痛めない程度に顔を上げた。 そこにはすごく懐かしい顔があった。 昔、小さいライブハウスでライブをやっていた時に、同じようにデビュー目指して頑張っていた別のバンドのドラム担当のカズキだった。 「おー、久しぶりー」 ひらひらと手を振ると、わりと無理やりオレの隣に座り込んだ。 その編集長さんが気を利かせてくれて、席を空けてくれて、そこにカズキが座り込んだ。 全く・・・強引なところは全然変わってないな。 カズキは派手な金髪だけど、珀英の綺麗なロングとは違って短髪で、珀英ほどじゃないけど背が高くて、珀英ほどじゃないけどそこそこ男前。 なんか基準が珀英になってる・・・ダメだな・・・。 カズキは隣に座ると、オレを上から下まで、舐めるようにジロジロと眺め回す。いつもこういう風にオレを見るから、少し苦手なんだよな。 カズキの執拗(しつよう)な視線から目をそらせて、少しぬるくなったビールを飲む。不意にカズキの手がオレの腰に回って、ぐいっと引っ張られる。 そして耳元で、低い声が甘く囁(ささや)いた。 「前より綺麗になったな・・・この後どう?」 あーそうだった・・・こいつバイセクシャルだった。前も散々(さんざん)口説かれたっけ。

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