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飼ってあげる 14

オレは珀英に抱きしめられたまま、珀英の胸に顔を埋めたまま、すり・・・っと、額(ひたい)を擦り付けた。 「・・・カズキに・・・犯らせろってしつこく言われてて」 「なっ・・・!!」 「だから、条件を出したんだ」 「は?条件?」 珀英が少し力を緩(ゆる)めて、オレの顔を覗(のぞ)き込むように見てくる。条件が揃(そろ)えば犯らせるんじゃないかって、不安な瞳をしている。 オレは笑いながら珀英の頬を撫ぜて、キスをする。捨てられたと思っている犬には、キスとか撫ぜるとか接触することで一番安心させることができる。 「炊事掃除洗濯が完璧で、うちの家事を全部任せられて。オレの我儘全部きいてくれて、オレの体調管理も完璧にやってくれて、オレが会いたいって言ったら飛んできてくれて」 「え・・・?」 「オレがして欲しいことは全部してくれて。オレを中心に生きてくれるなら、セックスしてもいいよって、そう言った」 珀英は驚いて瞳を丸くしたままで。オレはおかしくてくすくす笑い続けていた。 「そんな犬みたいなやついる訳ないって言うから、どっかに一人くらいいるよって言っといた」 オレは裸の細い腕を伸ばして、横に寝ている珀英の長い金髪を梳(す)き上げる。珀英は漆黒のアーモンド形の目を細めて、男らしいすらりと鼻筋が通った精悍(せいかん)な顔を無理に笑う形を作った。 「その犬が・・・本当に現れたら・・・どうするんですか?」 捨てられた犬みたいな顔。 苦しそうな、泣きそうな顔なんか、して欲しくない。 オレと一緒にいるんだから。オレを抱いて、めちゃくちゃに犯して、隣で寝れるんだから、こんなこと許すのお前だけなんだから。 そんな顔するなよ。 「ん〜〜〜・・・そうだな〜〜・・・」 オレは、汗が浮いている珀英の額にキスをした。そして口唇を少し横にずらして、珀英の薄い耳たぶを、そっと。 噛んだ。 「しょうがないから・・・飼ってあげる」 耳元で囁く。 熱い吐息をわざと耳に吹きかける。口唇を舐めて、濡れた音を注ぎ込む。 珀英はひゅっと息を吸い込むと、深く息を吐き出した。戸惑ったように瞳を伏せる珀英の頬を、オレは両側から包み込む。 オレを見るように、オレだけしか見えないように。 珀英がオレを正面から見る態勢になって、少しだけ微笑んだ。その歪められた口唇に噛みつきたくなった。 「そんな簡単に言っちゃダメですよ」 「何が?」

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