2 / 26

*

 温かい雨が降っている。  ほとほと落ちる滴が私の頬を濡らし、潮辛い水が唇に流れ込む。 『なんで、どうして―――俺を置いて行くのかよ!』  震える声。頑是ない子供のように喚く様は稚けなく、■しい。 『いやだ、行くな、行かないで…!』  絶え間なく降り注ぐ滴の向こう、刃のような彼の瞳が潤んでいる。  嗚呼、どうか泣かないでおくれ。私の――

ともだちにシェアしよう!