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第一章 僕と遊ばない?
「お腹すいたな……」
ネオンの溢れる、夜の歓楽街。
そんな明るくにぎやかな雑踏を、藤川 露希(ふじかわ ろき)は、ふらふらと歩いていた。
夏だというのに、妙に寒い。
冷汗が、背を濡らす。
「早く、稼がなきゃ」
お金を手に入れ、何か食べないと倒れてしまう。
倒れると、警察のご厄介になることになる。
家出少年としては、それだけは絶対に避けたいところだ。
「お兄さん、僕と遊ばない?」
中年の男性に『お兄さん』と持ち掛けると、相手は大抵喜んで乗って来てくれる。
思った通り、男は笑顔で露希を見た。
だがしかし。
可愛い顔をしているが、ぱさぱさの髪、青白い顔色、痩せた体つき。
そんな露希を、男は片手で追いやった。
「また、今度ね」
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