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第十章 幸せな日々

『愛してるよ、露希』  そう誠が告白してから、二人は毎日愛し合った。  残された日々を、灰も残さず燃やし尽くすかのように。 「あ、はぁ、あ。んっ、ん、ぅん……」 「気持ち悦いか、露希」 「うん……」  それは、露希のテクニックを磨くためのものではなく。  組長を悦ろこばせるためのレッスンではなく。  ただ、二人の。  誠と露希のためだけの、睦ごとだった。  そして、最後の夜。  今夜が、二人でいられる最後の夜だ。  明日、露希は組長へ贈られる。  そんな残酷な事実が、よりいっそう二人を燃え上がらせた。

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