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第十章・14
「起きろ、露希。朝だぞ」
「ん~、まだ眠い~」
「8時だぞ。いいかげん起きなさい」
だってぇ、と露希は鼻にかかった声を出した。
「昨夜の誠さん、凄かったんだもん。僕、くたくただよ?」
みるみる真っ赤になってゆく誠が、そこにいる。
「じゃ、じゃあ、あと5分だけ寝てなさい」
「今すぐ起きられる魔法が、あるんだけど」
何だそれは。
ただ、すぐに起きてくれるならありがたい話だ。
せっかく焼いたパンケーキが、冷めずにすむ。
こそこそと小声で話す露希の声は、聞こえにくい。
誠は、顔を近づけて耳を寄せた。
「キスしてくれたら、今すぐ起きる♡」
「仕方が無いな」
誠は、露希に口づけた。
露希も、誠にキスをした。
二人の幸せな一日が、始まった。
幸せな日々が、動き始めた。
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