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 翌朝、支度をととのえた孝弘は、玄関で祐樹と向かい合った。  出会ったころとは違って今は携帯電話もあるしメールもできる。会社に行けばテレビ会議で顔を合せるだろう。祐樹が赴任するまで、打ち合わせや会議はほぼ毎日だろうし、さびしく思う暇はないのかもしれない。  でも体温を感じられないのは、やっぱりさびしい。ここしばらくずいぶん一緒にいたせいで、よけいにそう感じるのだ。 「そんな顔するなよ。行けなくなる」  孝弘がもう一度、祐樹を抱きしめた。  いったいどんな顔をしてたんだろう?  祐樹は困って首をかしげた。そんなに頼りない顔をしていただろうか。 「大丈夫。1か月でしょ、すぐだよ」  意識して笑顔を作った。  きれいとだれもが見とれる王子さまのような微笑み。高校時代から訓練して鍛え上げた笑顔。  それを見た孝弘が困ったように眉を下げた。 「ごめん、やっぱ無理して笑わなくてもいいよ。その笑顔も好きだけど、俺のまえでは自然でいいから」  やさしく額にくちづけられた。  胸の奥がとくんと音をたてて、温かくなる。 「うん、大丈夫。行ってらっしゃい、気をつけて」 「ああ、祐樹も。北京で会おう」  大きなスーツケースを見て切なくなるが、あと1か月後には北京で会えるのだ。  玄関先でキスをした。  やさしく触れるだけのキスをして、お互い笑顔で思いを閉じこめるようにそっと離れた。  大丈夫。  キーフックの亀を見る。  たった1か月。  再会を楽しみにしていよう。  完  最後までおつき合いいただき、ありがとうございました(^^)  つき合いたてのカップルならではのドキドキや楽しさ、不安定な部分なんかを書いたつもりですが、いかがでしたか?  一言でも感想など頂けますと、本当に励みになりますm(__)m  この後、祐樹の中学高校生編「これもほどよく憂鬱な日々」を連載します。  そちらにも遊びに来てくださると嬉しいです<(_ _)>  https://fujossy.jp/books/19404  昨日10/9、過去最高閲覧数954、リアクション数も274となりました!!  北京→香港まで一気読みして、全ページにリアクション下さった方もいらしたようです。  本当にありがとうございます!!

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