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♥【閑話】○○しないと出られない部屋/ラファ×ギル(4)
* * *
「――ぐっ、……んんっ……!!」
ベッドに腰を下ろしたラファエルの足元で、ギルベルトがくぐもった声を漏らす。
ギルベルトは苦しげに涙を滲ませながら、なおも逃げたいように首を振っていた。
「だめですよ。あなただって、早くここから出たいんでしょう?」
ラファエルはギルベルトの髪を掴むようにして頭を押さえると、
「だったらほら……」
優しく囁くように言いながら、浅くくわえられていただけのそれを、一気に喉奥へと突き入れた。
「っ、んぅ……!!」
衝撃を堪えるようにとっさに閉じられた目から、ぽろりと涙がこぼれ落ちる。
それでも、再び開かれ、見上げてくる眼差しは抗議の色を浮かべたままで、ともすれば口の中のそれにも歯を立てようとしてくる。
「……妙な気は起こさない方がいいですよ」
ギルベルトの腕は後ろ手に縛られている。それを見下ろしながら、ラファエルは更にギルベルトの下腹部を、服の上からつま先で躙った。
ぎくりとギルベルトの動きが止まり、苛烈な視線が一瞬怯むように揺れる。
ややして、僅かに伸びていた犬歯をギルベルトが引っ込めると、ラファエルは褒めるようにギルベルトの頭を撫でた。
「そう、いい子ですね。じゃあ、ほら、そのまま頑張って」
「んっ……ぅ、んんっ……!」
「仕方ないでしょう。こうしないと出られないみたいなんですから」
手ずから押さえているギルベルトの頭を動かすようして、ゆっくりと抽挿を開始する。
そんなラファエルに半ばされるままになりながら、それでもギルベルトは諦めきれずに目で訴えていた。
だったら逆でいいだろ!
きわめて当然の言い分だ。
なのにラファエルは、それに気付いていて気付かないふりをする。当たり前のように。
(……だってそれだと面白くないでしょう)
というか、気付いていて気付かないふりをしていることはもう一つあった。
本当なら、オーラル をしなくても、キスをすればいいだけの話なのだ。
相手の何かをというなら、唾液だけでも条件は満たされるはずなんだから。
けれどもギルベルトはそれに気付いていない。気付かないまま、あてがわれた現状が全てだと思い込んでいる。
そういうところが可愛いと……そういうところに惹かれているのかもしれないと、ラファエルは思わず笑ってしまいそうになる。
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