121 / 146

♥【閑話】○○しないと出られない部屋/ラファ×ギル(4)

 *  *  * 「――ぐっ、……んんっ……!!」  ベッドに腰を下ろしたラファエルの足元で、ギルベルトがくぐもった声を漏らす。  ギルベルトは苦しげに涙を滲ませながら、なおも逃げたいように首を振っていた。 「だめですよ。あなただって、早くここから出たいんでしょう?」  ラファエルはギルベルトの髪を掴むようにして頭を押さえると、 「だったらほら……」  優しく囁くように言いながら、浅くくわえられていただけのそれを、一気に喉奥へと突き入れた。 「っ、んぅ……!!」  衝撃を堪えるようにとっさに閉じられた目から、ぽろりと涙がこぼれ落ちる。  それでも、再び開かれ、見上げてくる眼差しは抗議の色を浮かべたままで、ともすれば口の中のそれにも歯を立てようとしてくる。 「……妙な気は起こさない方がいいですよ」  ギルベルトの腕は後ろ手に縛られている。それを見下ろしながら、ラファエルは更にギルベルトの下腹部を、服の上からつま先で躙った。  ぎくりとギルベルトの動きが止まり、苛烈な視線が一瞬怯むように揺れる。  ややして、僅かに伸びていた犬歯をギルベルトが引っ込めると、ラファエルは褒めるようにギルベルトの頭を撫でた。 「そう、いい子ですね。じゃあ、ほら、そのまま頑張って」 「んっ……ぅ、んんっ……!」 「仕方ないでしょう。こうしないと出られないみたいなんですから」  手ずから押さえているギルベルトの頭を動かすようして、ゆっくりと抽挿を開始する。  そんなラファエルに半ばされるままになりながら、それでもギルベルトは諦めきれずに目で訴えていた。  だったら逆でいいだろ!  きわめて当然の言い分だ。  なのにラファエルは、それに気付いていて気付かないふりをする。当たり前のように。 (……だってそれだと面白くないでしょう)  というか、気付いていて気付かないふりをしていることはもう一つあった。  本当なら、オーラル(こんなこと)をしなくても、キスをすればいいだけの話なのだ。  相手の何かをというなら、唾液だけでも条件は満たされるはずなんだから。  けれどもギルベルトはそれに気付いていない。気付かないまま、あてがわれた現状が全てだと思い込んでいる。  そういうところが可愛いと……そういうところに惹かれているのかもしれないと、ラファエルは思わず笑ってしまいそうになる。

ともだちにシェアしよう!