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♡21.一人遊び(1)
「一年……一年……?」
その夜、ジークは布団に入るなり、ぼんやりと天井を見つめて何度もそう呟いていた。
窓際に目を向けると、そこにはいつものようにジークの箒が立てられている。
今夜もちゃんとカヤに言われた通りにしてみたけれど、そこにはやはり何の変化も現われなかった。
カヤの話によると、アンリは魔法使いの中でもランクが高い方だということだった。
具体的に言えば、純血のカヤは別格として、大まかにわけられる、S~Eまでの中でアンリのランクはS。対してジークは覚醒したてということもあり、C~Dくらいかなということだった。
(そんなの……何年かかるんだよ……)
箒に名前が出るまでの期間と、ランクは必ずしも比例しない。
そう確かに説明された。
だけど……だけど。
比例しないって言われても、正直自分がアンリより早くできることがあるとは思えない。
「……はぁ……だめだ」
考えたところで仕方ないのに、考え出したら止まらなくなる。
「とりあえず今日は寝よう……」
自分に言い聞かせるよう呟いて、ジークは静かに目を閉じる。
午前中、ずっと外で作業していたこともあるのだろう。
そうしてじっとしていると、思ったより身体も疲弊しているのがよくわかる。
騎士団にいた時はもう少し体力があった気がする。
本格的に飛行魔法の練習に入ったらまた変わるだろうか。
……だけど、そうなったらそうなったで心配なこともある。
結果|避《さ》けて通れないのであればと、いまは自分の中で蓋をしているそれを、ジークはまだカヤに言えていない。
「…………」
ジークは目を閉じたまま、深呼吸を繰り返す。
けれども、そんな時に限って眠気はなかなか下りてこない。
(……あ)
それどころか、温かな布団の中で、久しぶりに身体が火照ってくるような感覚を覚えて、小さく頭を振った。
努めて振り払おうとするものの、一旦それを意識すれば、その熱はどんどん腰に集まってくる。
「……あぁ、もう……」
血が目覚めるより、ずっと以前から覚えのあるそれは、いわゆる生理現象だ。
ジークは今、とくに発情期というわけではないし、その兆しでそうなっているわけでもなかった。
仕方なく、ジークおずおずと布団の中に潜り込んだ。
箒を立てた傍の窓から、淡く射し込む月明かりが部屋の床を照らしていた。
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