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「おまえ、ちゃんとテスト勉強してる?」 「あー、、その話しやめて~」 櫂が仰向けのまま、うんざりした顔で目を閉じた。 ピロートークが期末の話しなんて 確かにウンザリだろうけど、櫂がウチに来て 勉強をしている姿を見たことがないんだ。 一応 教師らしいことを言っておく。 「英語は平気…だよね、先生」 「…いつでも教えてもらえるなんて思うなよ」 「教えてもらってない。ヒントをもらってるだけ 答えを聞いてる訳じゃないんだからセーフ」 「何だそれ」 自分に都合のいい解釈に、思わず笑ってしまう。 俺は英語以外にも、出題されていると分かった 問題は、テストに出るぞ、とは言わず、教科書の 何ページを暗記しとけ、とか、この公式は忘れるな という感じでヒントを与えていた。 どれも、櫂が言われたらとおりに勉強をしなければ 点数にはならない。 だからセーフだ…と、おれ自身も思っていた。 「心配しなくても、ちゃんとそれなりに やってるよ」 俺の肩を枕にして目を閉じる。 俺は片手で櫂の肩を抱いて、額にキスした。 「俺が蒼佑とのセックスにかまけて成績落としたら 責任感じるんでしょ?だから最低限の努力は ちゃんとしてる」 「最低限かよ」 「あ、そこつっこむ?」 「冗談だよ。偉い偉い」 頭をポンポンと撫でると、子供扱いするな、と 照れたように笑った。 「早く大人になりたい… 蒼佑が俺といて、罪悪感なんて感じない 自分で何でも責任とれるくらいに…」 俺は何も応えずに櫂の額に頬を寄せた。 驚いた。櫂がそんな風に思ってたなんて。 愛しさで胸が熱くなった。 「あっという間だよ時間なんて…慌てないで じっくり青春を満喫しろよ。 俺は……ちゃんと待ってるから…」 「……うん…約束ね…」 櫂が俺の体にギュッと腕を巻きつけた。 顔は見えなかった。でもきっと微笑んでた。 くっついた肌の温もりや 空気の柔らかさが、とても心地よかったから。 実際は 具体的な約束は何一つしていないのに きっとお互いに、今まで以上に特別な関係に なったのだと……そう感じていた。

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