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19. 恋するチカラ
それから何日か空けてから、俺は、蒼佑を飲みに
誘うメッセージを送った。
既読にはなったけれど、どれだけ待っても
返信は来なかった。
スルーするなよ!と、突っ込むだけのメンタルは
今の俺には無かった。
また何日かして、今度は1週間後に日にちを
指定して、ご飯食べよう、と、送った。
日が決まっていたら、スルーはできないんじゃ
ないかと思ったのだ。
前回は、暇な日あったら飲もうよ、、と、
ふんわりした誘い方をしてしまったのが
失敗だったのかもしれないと…。
でも結局これも既読スルーだった。
病みそうなほどショックだった…。
たった2回の既読スルーで、もう心が折れた。
他にも、以前一緒に見たドラマの再放送の話しや
同級生が結婚した話し…。
雑談のようなメッセージを何度か送ったけれど
どれにも反応は無かった。
ひょっとして、もうこれはブロックでも
されてるんじゃないかと思ったほど。
ルミがもう一回、もう一回頑張ってみなよ!と
励ましてくれたけど、正直かなりしんどかった。
もう会わない、アドレスも消す!
連絡してくるな!と
トドメを刺された方がよっぽどマシだった。
俺の気持ちは、時間と共にどんどん沈んで、
既読になるだけのトークページを眺めることも
何とも思わなくなってきた。
あと一回。
そうだ… あと一回だけメッセージを送って
返事がなければ終わりにしよう。
再会して、大切な恋人みたいに抱いてもらえた。
それだけで十分じゃないか。
そう思えるようになっていった。
かといって、いかにも最後である事をアピールした
女々しい内容を送りたくはない。
どうしようか悩んでいるときに、ふといつもの
駅までの道を写真に撮って、それを蒼佑に送った。
(あのファミレスなくなっちゃったんだ
今は駐車場になっちゃったんだよ)
更地にされて、月極めの駐車場になってしまった
もう以前の面影は微塵もない風景だ。
“あのファミレス”
それだけで蒼佑に伝わるかどうか
分かってもらえなくてもいいや、と、半分
投げやりな気持ちで…。
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