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26. 7

蒼佑の部屋に不釣り合いなポップな姿。 何でここに置いてもらえたのか分からず かわいそうな、羨ましいような…なんとも 言えない感情で連れ帰った。 蒼佑がアイツを気にしていてくれた事に 驚いた。 きっとこれからも、俺の知らない 意外な蒼佑の1面をいくつも見つけて 時を重ねていくんだろう。 「ほら、行くぞ~」 「はーい!」 出勤ついでに家まで送ってもらうために 一緒に家を出た。 車が走り出すと二人の世界は終わりだ。 ポケットに忍ばせた、蒼佑の家の鍵を 握って目を閉じる。 もう一度、目を開けて蒼佑を見ると 一瞬だけこちらを見て笑った。 大丈夫。夢じゃない。現実だ。 「今度いつ会えるの?」 「水曜は少し早く帰れるよ 外で食事でもする?」 「うん!」 次の約束ができて、気持ちが上がる。 「……ね、今度さ、逆でやってみる?」 俺がニヤつきながら言うと 蒼佑が何の事か分からず少し考えた。 「俺が挿れるの」 言いながら人差し指を 蒼佑の耳に軽く突っ込む。 「………」 「やったことある?」 蒼佑は大して動揺もせず笑いながら ハンドルをきった。 「…ないけど…櫂がやってみたいなら やらせてやるよ」 「ホント!?」 「そっちこそやったことあるの?」 「ないけどさ、蒼佑とならできそう!」 「あっそ、初めてって聞いてホッとしたよ」 「当分はいいけどね」 「その時は優しくしてネ」 女の子に無理だったのに 蒼佑相手だったらできそうなんて不思議だ。 こちらを見ずに、蒼佑が手を伸ばして 俺の手を握る。 指を絡めて、笑って。 俺たちの未来は明るい。 そんな気がしてしまう。 こんな不毛な関係でも 幸せな未来のイメージしか 広がらない。 そうだね。大事にしよう。 ケンカをしても 今度は傷つけ合うような真似はしない。 慣れた様子で、マンションの半地下の駐車場に 車を滑りこませる。 「じゃぁ、水曜な」 「うん。仕事終わったら電話して」 どちらからともなくキスをして、離れた。 「じゃぁ お仕事頑張ってね、先生 」 そう言って車を降りようとすると 強い力で腕を引っ張って引き戻された。 「今、先生って言ったのわざと?」 蒼佑がイヤらしい顔で笑う。 ー あ、そうだった… 今はもう、俺の先生ではない蒼佑を “先生” と呼ぶのは…。 蒼佑は もう一度ゆっくり唇を重ねて 俺の舌を吸った。 ジン…と下半身に熱かこもる。 塾の講師をしている蒼佑に、向けて言っただけで 深い意味なんてなかったけど。 こんなキスをしてもらえるなら言って良かった。 「今度会うまで いい子にしてろよ」 「はい。先生」 誘うように囁いた俺の顔を見て 蒼佑が軽く俺の頭を叩いて笑った。 「悪い子だな」 水曜にはきっとまた 激しく愛し合ってしまうんだろうな… そんな予感のする笑い方だった。 ~ 完 ~

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