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ライバル出現?5
「ここで俺が活躍して人気出れば、メインが変わったりするかもしれないっすね?」
「…あ?」
監督と打ち合わせをしていた広瀬が帰ってきた。
当たり前のように俺の隣に並ぶと、まるで挑発するようにニヤリと笑って話しかけてくる。
ギロリと睨みつけると、「そんな怖い顔してたらシワが取れなくなりますよ〜」とにこやかに言われた。
やっぱりこいつ、俺のこと“おじさん扱い”してるだろ絶対。
「はーい。じゃあ本番行きまーす」
何かを言い返す前にそう叫ぶ声がした。
俺は最後に苛立ちを隠すことなく広瀬に口を開く。
「半端な芝居見せるなよ。最低でも千里の足を引っ張るな」
「おー怖い怖い。流石は実力派俳優。でもそんな気が立ってばっかだと、高血圧になりますよ?」
「…ッッ。お前…」
「あーはいはい!俺たちはこっちな幸!」
バチバチと火花を散らしていると、割り込んできた間瀬に引きずられていく。
言いたいことは山ほどあったが、撮影の進行を邪魔したくはないので我慢した。
あれだけ大口を叩いて三文芝居でも見せようものなら摘み出してやる。
そう心に決め、俺は間瀬に連れられて行くのだった。
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