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二、さざ波の声①
赤い火は………
水面 を燃やす光は、夕陽……
それとも朝日なのだろうか。
風が頬を撫でた。
箱の中に、夕陽だか朝日だか分からない太陽が入っている。
これは、窓だ。
「なぜッ!」
体に掛けられた薄い布。
俺はベッドに横たわっている。陽の光の射し込む窓があって、ここは部屋の中だ。
簡素だが、木でしっかり造られた家に俺はいる。
(体……動いた)
生きている……
今も焼きついている。瞼の裏側に、真っ黒い煙と鮮烈な火柱と、物言わぬ波のうねりが。
エンジンの轟音が爆発して……
「特攻は!」
俺は敵艦空母に突撃したのだ。
俺はどうして…………
(生きている?)
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