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プロローグ
自分にとって都合のいいように利用する…その為だけに君に近づいた。
自分が救われるために。自由になるために。
だから嘘をついた。
何でも知ってる淫乱なのに、君の前では純情そうにして…。
君が嫉妬するように、わざと他の男と肩を並べて…。
君の辛い過去を知りながら、それをだしに心を揺さぶって…。
何度嘘をついたかなんて、数えきれない。
だから、これは報いなんだ。
今更本当のことなんて言えやしない。
誰かと一緒に笑うだとか、相手の一言一句にドキマギするなんて。
君の笑顔を見て幸せな気持ちになって、君の涙を見て心がこんなにも苦しくなるなんて。
好きだよ。ずっと前から好きだった。
きっと初めて君の笑った顔を見たあの日から。
今更本当のことなんて言えやしない。
だけどやっぱり、どうしようもないくらいに僕は、君が好きだった。
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