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あぁ、やっぱり酒の味がする。
貪るようにキスをし、舌を絡められて、快感で目眩がしてくる。
「指、入れるよ」
「……うん」
久しぶりすぎて緊張する。
不安からなのか、手が震え、体が冷える。
怖い。嫌でも思い出してしまう黒い記憶。
助けを呼んでも誰にも届かなかった悲鳴。
やめてくれ、今、そんなことを思い出してる場合じゃないのに。
思わず、彼の体を引き寄せ、肩に顔を埋めた。
彼がクスッと笑い、指が後ろに触れた。
いっその事、あの時に感情なんて失ってしまえたら楽だったのに……。
「遥輝くん、ここかい? ここが好きなのかい? 」
「んぁ、あっぅ……ぃや! やだ! ぃたっ、やだぁ!! ああぁ! 」
「ほら、いやいや言って泣いてないで、気持ちいいって言ってごらん? ほらっ!!」
「あああ、っん!!」
あぁ、やっぱり、怖いや。
「言っただろ? 俺は痛いことはしないって」
「え?」
記憶から引き剥がされて、彼の顔を見る。
「それに、無理はさせたくない。怖かったり、不安だったりするなら、別に今日やらなくたっていい」
「で、でも、それじゃ……!! 」
それじゃ、ダメなんだ。
じゃないと、あの人が何をするか分からない。
少しでも早く、関係を断ち切りたいんだ。
「だから! 」
強く、抱き締められる。彼の早い息遣いが、耳元を撫でる。
「だから……明日も、ここに来て……」
「……いいの? できないんだよ? 」
「分かってる。明日もまた優しくするし、無理矢理なんてしない。だから、また来て。
夜の間だけ……そばにいてくれればいい」
頭を撫でていた手が頬へと降りてくる。
どこか悲しげな目をする彼がなんだか自分と重なって……。
「わかった」
優しく、何かを忘れたがっているかのように、互いを求め、キスをした。
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