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10 出会い
初めて遥輝を認識しはじめたのは、今から数ヶ月前のこと……。
いつものように1人で飲みながら、今晩の相手を探していた時のこと。
「ねぇお兄さん、一緒に飲まない? 」
どこからか透き通った男の声が聞こえた。
自分が声をかけられたのかと思い振り返ると、後ろの席の30代位の男に声をかける、茶髪の青年がいた。
歳は多分10代。
目がくりっとしてて、可愛らしい顔をしている。
大学生くらいだろうか、さらに言えば、高校生にも見えなく無い。
こんな酒場にいていいのかよ。
男の横に座り、酒を飲むその姿に俺は目を奪われる。
しばらくすると、その子は男と共に出ていってしまった。
ちらりとドアの窓から見えた方角は、ホテル街。
あぁ、そういう子だったんだ。
なんかちょっとがっくり。
誠実そうな顔だったから、ただ単に飲みに来ただけの子かと思ってたのに……。
あの慣れた様子、常習かな?
残念だな。初モノだったら遠慮なく手出したのに……。
その日から何度も同じ居酒屋でその子のことを見かけるようになった。
誘う文句は一緒。
隣にいる相手はいつも違う。
「ねぇ、君の連絡先を教えてよ。こんな可愛らしい子にあったのは久しぶりなんだ」
聞こえてきたあの子の連絡先を聞く若い男性。
その時の彼の表情を、俺は見逃していなかった。
「っ……え、えー? どうせなら僕から連絡したいな。そっちの連絡先を教えてよ」
一瞬見せた動揺。
顔が強張り、泣きそうな顔を。
なにか事情でもあるのか、はたまた、同じ相手とは寝ないのか。
そんな理由はどうだっていいが、俺はその表情が気になって、その日から、彼の表情を盗み見るようになった。
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