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喫茶店(つむぎ)

『あー、祈織さんおはよう』 『いまおはようの時間か』 と、喫茶店に来た祈織さんに挨拶をした 祈織さんは最近ろくでもない生活をしているようで時間の感覚がゴミ。 だから多分今も適当に来たら偶然おれのシフトの時間だったらしい 『いつもの?』 『うん』 と、いつものようにフレンチトーストを注文するから、おれはそれをマスターに伝える 『フレンチトーストのカフェラテセットです』 「はい、了解」 と、マスターは手馴れた手つきで食事を用意する 「あの人紬くんの知り合いなんだっけ?」 『うん、前まで一緒に住ませて貰ってたんだ』 「そうなんだ、何やってる人なの?」 『えー、ニート?』 「……」 と、マスターは無言で先にカフェラテを出してくれたからそれを祈織さんの所にまた持っていくと 祈織さんは前に言っていた見たいに 机の上にいろいろ出していた 『あ、なんか決まったの?お仕事』 『まだだよ、なんとなく方向性は決まったから履歴書の準備だけ』 『へえ、なんの仕事?』 『んー、決まったら教えるよ』 と、はぐらかされてしまった 邪魔にならないように 俺は仕事に戻ろう、とさっさとマスターの所に戻ってシルバー磨きをする 『そういえばマスター、祈織さんの時はいっつもカフェラテ先に出してくれるよね?』 「そりゃ常連さんだからね。覚えてるよ、あの人はカフェラテ食後じゃなくて食前だって」 『へえ、そうなんだ。つか祈織さん本当に常連だったんだ』 「うん、先代のマスターの時から来てるよ。僕が知ってるだけで10年は来てるかな」 『そ、そうだったんだ』 10年とは… きっと前の、社長のお家にいる時から来てたんだろうな 「ここって年齢層高いでしょ?だから珍しかったんだよねー、若いお客さん。だからなんとなく覚えてたんだ」 『なるほど』 祈織さん結構目立つしね 顔立ち的に 「それにあの人顔がいいでしょ?だからちょっと印象的だったんだよね」 『うん、凄くわかる』 「かわいいよね、あんな感じの見た目なのにすごく甘党だし」 『そうなんだよねー、意外にかわいい所あって、前にカレー辛いの食べれなくて俺のハンバーグと交換してあげた事とかある』 「子供みたいな人だね」 『まぁ、そうかも』 と、祈織さんの様子を観察してると なにやら手帳みたいなのを開いてペンを持っていた お、真剣 なんだかんだ祈織さんがディスクワークとかあんまり見たこと無かったな なんか家でパソコンでカチャカチャやったりとか おれのこと送迎すんのは仕事だけどデスクワークと違うし 暫くしてから 祈織さんの所にフレンチトーストを持っていくと ノートには文字が書いてあって ちらりとそれを見る 『何書いてんの』 「履歴書に書く、色々書こうとしたんだけど長所とか思いつかなくてとりあえず資格だけ分からなくならないように書いてる」 『へえ、』 と、チラッとそれを覗き込むと 資格たくさん持ってて あれ、この人意外に資格もってんだ、と失礼な感想 あと、祈織さんの字ってこんな字なんだ なんかかっこいい字書くんだな 祈織さんはフレンチトーストが来たから さっさと手帳を閉じて 食べる準備をはじめていて 『これ、マスターがチョコソースお試しにどうぞって』 『やったー、ありがとうって言っといて』 『うん』 と、早速チョコソースとメープルを半々くらいでかけた 『つむ、今日学校行くの?』 『ううん、今日は休み』 『ふーん、うちくる?』 『なんで?』 『……一人でいるの飽きたから』 『………行ってもいいのでしょうか』 『……やっぱり今の無し』 『え、なんで。20分くらいで上がりだから行けるのに』 『だって、多分おれ今お前家連れ込んだら手出す』 『……いいのに、』 『ダメだよ』 『ええ、』 『また今度にしよ』 『…いつ?』 と、聞くと祈織さんは くい、とおれの事を引き寄せたから なんだろ、と近寄ると 耳元で 『おれがオナニーした次の日ね』 と、小声で言った 『ひえ』 なんてことを言うんだ、朝から そっか、この人今、朝とかそういう感覚ないのか 『また今度。学校ない日教えてね』 『えっと、うん』 と、朝からどえろいことを言われて 俺はドキドキしながらカウンターに戻る なんだろ、祈織さん おれのことみてムラっとしちゃったのかな それかお家で2人だと ムラっとしちゃう可能性があるから今日はダメなのかなって思うと おれの方がムラムラしちゃうんだけど 「あの人、なんだって?」 『あ、えっと……オナニーした次の日なら遊んでくれるって、』 「え?いや……チョコソース。美味しかったかな?って聞いたんだけど」 『あ!えー…ありがとうって』 と、マスターに祈織さんの恥ずかしい言葉を 意図せず暴露してしまって マスターと祈織さんに申し訳なくなる ごめん、祈織さん マスターの中で祈織さんちょっと変態になっちゃったよ

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