19 / 268

第19話

初めて来た玄関は広々としていた。 床は大理石…? 詳しく知らないけど黒のキラキラしたやつだった。 玄関横のシューズケースを開けると俺の履き潰したスニーカーが置いてあった。 早速それを履く。 玄関のドアに手をかける。 鍵がかかっていると思ったが不用心にも開いていた。 「ラッキー!」 そのままドアの外へ。 見渡すと目の前にエレベーターがあった。 とりあえずボタンを押して、エレベーターが上がってくるのを待った。 誰かが使っているのかなかなか上がってこない。 その間に周りを見渡した。 リビングから見た通り、このビルの上層階らしい。 しかも驚くことにこの階にあるドアは1つしかない。 つまり、ワンフロア全て匡の家ということだ。 金持ちすぎだろ… そうこうしてるうちにポーンと音が鳴ってエレベーターの到着を知らせる。 それに乗り込み、1階のボタンを押す。 エレベーターのボタンは何処か普通のエレベーターと違っていた。 普通は数字と閉じる、開くのボタン、非常用ボタンだけだが、ここのは*、#、!、?のボタンもついていた。 なんだこれ?記号の階があるとか…? いや、ないよな… やっぱ、高級マンションだと違うのか…? まぁ、無事エレベーターが動いてるからいいか。 階を確認すると匡の家は最上階らしい。 1番上から1階まで降りる。 エントランスも広々としていた。 警備員とかいてもおかしくないのにそこは無人だった。 まぁ、居られてもスルーだけど。 そして、俺は見事あいつのマンションから抜け出すことに成功した。

ともだちにシェアしよう!