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第58話

匡が出ていってから俺は2人分のお皿を片付けた。 …やることがない。 今までだったら学校の課題やバイトにスマホで動画見たりとやることはいっぱいで時間が足りないくらいだった。 なのにここに来てから学校もバイトも行かせてくれないし、スマホも取られたままでやることがない。 テレビは見れるけどあんまり興味ないんだよなぁ〜 せめてテレビゲームでもあれば良かったのに… でも他にやることがないのでテレビを付ける。 適当につけたのは昼にやってるバラエティー番組だった。 「今日のゲストは若くして会社を立ち上げたこの方!」 本当に何気なくつけただけだった。 たけど、ゲストとして出てたのは俺の知る人。 「え、は…?匡??」 テレビの中で愛想を振りまいて挨拶している。 「最近話題の真田匡さんです!今日は沢山お話を聞きましょーう!」 司会者さんが言った名前には聞き覚えがあって、顔だって見たことある。 とゆーかさっきまで一緒に遅い朝ごはん食べたもん。 え?社長って本当だったってこと? しかも自分で立ち上げた会社?? 訳分からなくなったけど問い詰めたい匡はここには居ない。 俺は大人しくバラエティー番組を見進めた。 テレビの中の匡は俺に向けるヘラヘラしたような顔じゃなく、ハッキリと話し、誰をも虜にするような笑顔で対応していた。

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