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第188話
しばらくは抜け出そうと活発に動いていたが、やっぱり逃げられそうもないので大人しく座ってる。
「ねぇ?誰か助けにくるよね?」
「来るよ」
きっと匡が来てくれる。
こはは不安なようでさっきからネガティブ発言が多い。
あいつらが俺達を拉致ったのは多分匡の組を潰したいからだよね…
なら俺達は殺さず、人質として扱うだろう。
死ぬことは無さそうだ。
そんな事を考えていると地下室の扉が開く音がし、誰かが階段を降りてくる。
「あれ、ガムテープ剥がしちゃったんだぁ?まぁ、いいけど」
1人のおっさんがニヤニヤしながら格子に近づいて来た。
「あんたら誰だよ?」
「君の恋人の敵グループだね、さっき君のケータイ鳴ってたよ?」
やっぱり敵か…
てか、スマホ…いつの間に取られたんだ…
おっさんが俺のスマホ片手にプラプラしている。
ご丁寧な事に画面まで付けてくれちゃって、着信履歴を見せてくれる。
「君の恋人、メールと電話の数凄いねぇ〜、独占欲丸出しじゃん。」
「うるせぇよ、早く離せ」
「逃がす訳ないでしょ?いい鴨なんだから」
「チッ…」
あ、でもこいつらに必要なのは匡の人質となりうる人だよね?
なら俺だけで良くない?
「なぁ、俺が居ればいーんだろ。こはは離してやってよ」
「ちょっとセイ!?」
「…んー、逃がしてもいいけど警察いかれると面倒だからやっぱりダメ」
「あっ、おい!」
それだけ言い残して出ていってしまった。
何しに来たんだよ…
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