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最終章 君の想いをきかせて 二十九

 貢は4月から大学へ進学が決まっていたが、もう将来何になるかは決めていた。  そう誠のような結婚式場のスタッフになること。そしてあれから大貫から引き継がれ、支配人になった誠とこの結婚式場を盛り上げること。誠のように誰かを笑顔にしたい、幸せにしたいと思っている。    ちなみに大貫は新しく同じ系列のホテルが都内に建ち、そこの支配人として向かった。と言っても隣駅だが。  大学に通いながら、相変わらず結婚式場でバイトをして、学費や生活費の足しにしていた。もちろん将来のためにそこで働きながら、少しでも叔母たちの力になろうと送金もしている。  明らかに前とは違う貢がそこにいた。  人の幸せを願い、人のために一生懸命になること。それがこれからの貢の課題にもなった。  けれどきっと彼ならやり遂げられるだろう。傍に誠がついているから。  誠はそんな貢が頼もしくもあり、愛おしくもある。一生傍にいて助けていこうと誓った。    想いは必ず通じる。そう、信じていれば誰でも幸せになれる。    ある秋の空の下、いつも遊びにくる遊園地の花壇の前で、誠と貢は二人で仲良くチョコシナモンクレープを食べていた。  二人の左の薬指にはお揃いのリングが光っている。  あの時の景色よりもより花壇が増設されていて広くなっていた。  そしてこれからの二人をまるで祝福するように、パンジーの花が溢れんばかりに咲き乱れていた。  おしまい。

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