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最終章 君の想いをきかせて 二十八

 式が滞りなく終わると、宴会が始まる。  立食型式ではあるが壁際に簡単なテーブルとイスが用意されていた。  壇上では小杉が仕切る職員みんなでの機械体操のような宴会芸をして笑いを誘い、在華と美鈴の歌も会場に響き渡り、親戚のなかで唯一伯母の益美が出席してくれて、生前の貢の父親はとてもやさしい人だったとみんなの涙を誘った。  とても温かな式だった。    これからも誠と貢には色々なことが待っているのだろう。  けれどもう二人を阻む物はいない。互いに信頼し、いつもにぎやかしで大貫や一香たちが二人の家になだれ込んでは宴会をし、そんな平凡だけれど温かな日常が待っていた。   「ああー誠さんと貢くんいいなー私も彼氏欲しい~」 「あら、あんた最近ちょっと気になる人がいるんじゃないの?」 「え、あ、ばれた?」  少し頬を赤らめる一香になになにとみんなは耳をそばだてた。  どうやら結婚式場ではたらくシェフに恋をしたそうなのだ。 「こうなったら全力で応援しなきゃ」  元気よく言う貢にみんなが一斉に視線を向けた。 「貢くん、なんかとっても前向きになったね」 「そりゃそうよー貢には誠がいるんだしー」  まるで二人を見守る保護者のように大貫は満面の笑みを浮かべた。

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