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第44話
リクは恋人を求めていた。
恋人から愛されることを。
恋人だけ。
恋人だけが、リクが初めて望んだものだったから。
だからセックスに溺れた。
身体を淫らに変えてまで・・・恋人の望むままに。
セックスは愛だった。
恋人と自分を救う。
だから、リクはそれで自分を、恋人を満たしてきたのだった。
今、リクは叫んでいる。
乱れていた。
欲しがった。
奥までディルドで突かれた。
そこをこじ開けられるのがリクは大好きだった。
「いいっ・・・いいっ・・ゴリゴリしてぇ」
リクの望むようにこじ開けられ、リクは涎をたらし痙攣した。
「リク・・・可愛いリク・・・」
その声に喜び、また迸らせた。
「まだや、リク。あたしは足りへん・・・こんなんや足りへん・・・リク・・・あたしのモノになり」
その声に一瞬我に帰った。
誰?
柔らかな胸の先は硬くリクと同じように尖っていて、それがリクの胸に擦り付けられている。
恋人じゃ・・・ない。
でも、恋人の匂いがする。
恋人と同じ位、苦しむ魂がいる。
「あたしもあの子も同じや。あたしらは・・・同じなんや・・・だから、リク、あたしでもええやろ?あの子と同じように可愛がってあげるから」
その声は切なかった。
ディルドを挿れたまま性器を扱かれる。
何度も何度も出したし、中でもイったのにリクはまた勃ちあがらせてしまう。
「リク・・・あたしのもんになり」
その声には、欲望よりも苦しみの方ごあった。
指や唇や舌やディルドが、恋人のようにリクを愛する。
彼女はリクを抱いていた。
リクを抱くことで、恋人と同じものになろうとしていた。
彼女はリクに抱いて触れることで、恋人とセックスしていた。
リク相手に感じる想いの全てが、恋人のものであると知っているから、リクを使って恋人とセックスしていた。
恋人は彼女から逃れるためにリクの身体を愛した。
彼女は恋人を知るためにリクを抱いていた。
リクの身体こそが、彼女から逃げた恋人のしてきたセックスそのものだったから。
リクは欲しがった。
もっと奥を。
それが恋人がしてきたこと。
だから彼女はそうした。
リクが突き出す胸に咲く乳首は、すっかり熟れて噛みしめたなら、リクをグズグズにとかした。
それが恋人がしてきたこと。
だから彼女はそうした。
ディルドを出し入れする穴は、最初から性行為するための穴であるかのようになっていて、締め付け欲しがり痙攣していた。
それが恋人がしてきたこと。
だから彼女もそうした。
「・・・リク、リク・・リク・・・」
縋るように叫ぶ声さえも。
助けて欲しいとこの身体に逃げる魂さえ・・・恋人と彼女は同じだった。
こんなになってさえ、そこまで欲しがりながら、姉の身体を弟の身体を求められない臆病さまで。
「あたしに挿れて、リク。そしてあたしと行こう・・・今度はあの子が一人で地獄にいたらいい」
彼女がリクの髪を撫でて言った。
それは。
恋人と同化した魂ではなく、
初めての彼女自身の声だった
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