17 / 19

5-2*大人編

午前1時47分 とある繁華街の道を長身の男が綺麗な男を背におぶって歩いている。 「んー、」 「あ?」 「りゅうー」 「お前飲みすぎなんだよ」 ぎゅっとしがみつく腕に力を込める。 おぶられている男、武藤梓はほろ酔いどころではない。泥酔状態で氷室龍の肩に額を押し付け、誰に向けてでもない言葉を発している。 ふふふとふにゃりと笑っている梓にハァ、と溜息をつきながらも腿裏に回された手つきは優しい。 「なー、りゅう」 「ん?」 「きょうのどうそうかい」 たのしかったなー、とうわ言かのように呟いた。 「そうだな」 「なかにしとか、ぜんぜんかわってないしー、やっぱしまおとあおのってデキてたしー」 「ああ」 つい先程までの情景を思い出す。 相変わらずなテンションの中西に「え、やばいやばいやばい何、龍呼びって?!りゅーくんは?ねえどこいったのねえ!」と迫られてる梓が少し困っていたのを思い出す。最悪にもそこにあの志磨まで加わり、腐男子2人からの質問攻め。 終始、中西と志磨はテンションが高かったな。 そんなことを頭で考えるうちに自宅マンションに着いた。 エレベーターに乗り、13階のボタンを押す。 もう真夜中だ。人の気配はない。 男をおぶってる姿は傍から見たら可笑しな格好だが、その傍すら存在しない。 13階です、のアナウンスとともにエレベーターを降り、自宅を目指す。 「んー、りゅ」 「もうすぐ着く」 「はあい」 ポケットから鍵を取り出し、ドアを開ける。 「ほら、左から脱いで」 泥酔状態のあずさの靴を片足ずつ脱がせると、一目散に寝室に向かい、梓を下ろした。 そういう体質なのか、頬がほんのりとぴんくに染まり、うっすらと目を開き「りゅう」と呼ぶ梓は少し、えろい。 ハァ、とまた龍は溜息をついた。 「あーずさ」 「?」 ぎしりと、ベットが音を立てる。 龍が梓に覆いかぶさった。 「もう、他所で酒は飲むなよ」 「 ? なんで?」 「わかんねえの?」 「わかんない、」 はぁ、と溜息 「う、」 龍が身体の力を抜き、全体重を梓に預けた。 首筋に頭を擦り付ける。龍のなにげに柔らかい髪が梓の首筋を擽る。 「んー、重いし、くすぐったい」 「うるせーよ」 「なんなの、」 「…なんでもねー」 早く寝ろ、と一言。諦めの域。 恋人が鈍いと気が気じゃない。

ともだちにシェアしよう!