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第6話

「――っってぇぇッ」  男が門の外まで転がっていく。陽斗は追いかけて、男の腹を踏みつけた。 「ギャアッ」  叫ぶ暴漢を、スマホを取り出して写真撮影する。 「キモいんだよ変態野郎! 警察を呼ぶぞ!」  そう怒鳴ると、男は立ちあがり、あたふたと逃げていった。  後ろ姿にフンと鼻を鳴らして、中指を突き立ててやる。すると離れた場所にとまってた車から、男がひとり急いでおりてきた。騒ぎを聞いて出てきたらしい。 「――」  男は、恐ろしく美しい容姿をしていた。背が高く、高級そうなスーツを着ていて、何より目を引いたのはその白金色の髪(トウヘッド)だった。 「……希少(レア)・アルファ」  思わず呟いたとき、全身にしびれるような悪寒が走った。 「っ――」  経験したことのない感覚に襲われる。心臓がドクンと波打ち、電気を通されたかのような衝撃が背筋を走り抜けた。  目が離せずにいると、男のほうも陽斗をじっと凝視する。そうして、うっすらと微笑んだ。  男の白金髪は、ゆるいくせのあるショートミドルだった。長めの前髪は目にかかるほどで、その奥に銀灰色の瞳がある。高く真っ直ぐな鼻と、なだらかなラインを描く唇。  完璧に整った容貌は人間離れしていて、まるでCGでも眺めているようなヘンな気分になる。――ああ、この前やっていたゲームにこんなキャラいたなあと頭のどこかでぼんやりと考えた。 「僕の出番はなしか」  男がよく通る澄んだ声で言う。  聞いているだけで耳がしびれるような美声だ。

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